「Amazon」を超える米国スタートアップ…買い物の概念を変える「レジレス・ビジネス」驚愕の事業戦略とは【DX事例】

「Amazon」を超える米国スタートアップ…買い物の概念を変える「レジレス・ビジネス」驚愕の事業戦略とは【DX事例】

トピックとしては広く浸透したDX。実際の取り組みに対し、評価するタイミングに差し掛かっています。DXによって収益化できている企業とそうでない企業はなにが違うのか、そもそも変革できたのか、どこで差がついたのか……今回は「『Amazon』を超える米国スタートアップによる、買い物の概念を変える『レジレス・ビジネス』における驚愕の事業戦略」を中心にみていきます。

 

日本の特質に合わせた物流センターでのDX事例

人とロボットの協働を可能とする群制御プラットフォーム

■事業:Rapyuta Robotics(ラピュタ ロボティクス)

■運営:Rapyuta Robotics株式会社

 

イニシャルコストの抑制とレガシーとの両立を可能とするAMR を活用した
ピッキングの自動化

 

[図表2]Rapyuta Roboticsのロボットと作業員の関係

 

〈ビジネスモデルの概要〉

Rapyuta Roboticsは、2014年にチューリッヒ工科大学からのスピンオフで設立された日本のスタートアップです。AIで複数のロボットを群制御する技術を核に、物流センターにおけるピッキングの自動化を支援しています。

 

自動倉庫やGTP(Goods to Person)と呼ばれるロボットは、出荷する商品を載せた棚やコンテナを作業員のいるところまで運んでくれます。作業員は商品のある場所まで移動する必要がなくなるため、生産性の大幅な向上を期待できますが、設備の導入に多額の投資を必要とします。

 

それに対して、AMR(Autonomous Mobile Robot)に種別されるRapyuta Roboticsのロボットは、人との協働を特長としています。ロボットは、出荷する商品がある棚の前に移動して作業員が来るのを待ちます。作業員は、ロボットがいる場所に移動し、棚にある商品をコンテナに入れます。商品を受け取ったロボットは、作業員に行くべき場所を伝えたうえで、自分も次の場所に移動するという具合です。人の作業をロボットに置き換えるのではなく、その一部を担うことで全体の生産性を高めるという仕組みであるがゆえに、もとからある棚やコンテナをそのまま使えます。

 

作業量に応じてロボットの運用台数を増減させることも簡単です。生産性の向上のみならず、イニシャルコストの抑制やレガシー(旧資産)との両立にも適したビジネスモデルといえるでしょう。加えて、日本は総じて現場の生産性が高く、人とロボットの高度な連携を期待できます。今後のさらなる人手不足を踏まえると、レガシーのある既存の物流センターでの自動化の推進は不可欠です。そう考えると、日本という国の特質に即したビジネスモデルであるともいえます。

 

進化の方向性

Rapyuta Roboticsは、群制御技術を活用して他社製のロボットをも管理できるようになることを理想としています。将来的には、PCにおけるWindowsのように、オペレーティングシステムとして価値を発揮する存在になっているかもしれません。

 

飲食店での配膳やホテルのルームサービスなどで活用されている搬送ロボットも機能的にはAMRと似通っています。「人が手で運んでいる作業」をすべて自動化するロボティクスプラットフォームに進化することも一考に値するでしょう。

 

 

小野塚征志

ローランド・ベルガー 

 

 

本記事は、小野塚征志氏が監修した『DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略』(インプレス)から一部を抜粋し、再編集したものです。

DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略

DXビジネスモデル 80事例に学ぶ利益を生み出す攻めの戦略

小野塚 征志

インプレス

最先端のDX事例を完全図解! &ビジネスに落とし込むためのヒントが満載! 「DX」はトピックとしては広く浸透しました。そのため、どんな事例があるか、どう取り組むか、どう経営に取り入れるかといった情報は語りつくされたと…

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