(※写真はイメージです/PIXTA)

五大商社に勤務後、公益財団法人日本サッカー協会へ転職、様々な交渉の場を経験してきた松永隆氏の著書『ビジネスパーソンのための超実践的交渉術 ⽇本⼈の交渉のやり⽅』より一部を抜粋・再編集し、「望ましい交渉の進め方」についてみていきます。

「なんと円熟した大人の商売人なんだ」と感心したワケ

とは言いつつ、皆がお互いを100%信頼しているわけではないところがまた面白いところです。

 

信頼していない者同士でも、とりあえず酒は酌み交わし、笑いを交えながら腹を探り合うのです。微妙な匙加減なのです。なんと円熟した大人の商売人なんだろうと私は感心し、随分と勉強させてもらいました。

 

一方関東の業界ではそのようなつながりをもった人たちがごく少数はいたものの、おおかた、商売がたき=ライバル=話もしない、というのが大多数でした。味気ないと言えば味気ないのです。

 

私も輸入業者として関西の問屋すじの皆さんと商売をさせて頂きましたが、仲良くなるにつれてその輪の中にいるのが心地よかったのを今でも覚えています。非常に洗練された商売人の集団と言えるのではないかと思います。

 

日本の他の地方ではなかなかこのような集団にはお目にかかれなかったので、やはり関西の商人道の歴史の深さのなせる業だったのかと勝手に解釈しています。

海外との交渉

海外との交渉も同じ人間関係ですから、できればそのような関係性を築いて交渉できればベストです。

 

ただ、海外の場合生き馬の目を抜くような交渉も避けて通れないこともあることも事実です。

 

いい方の例としてご紹介したいのはサッカー界における国際交渉です。

 

サッカー界は国際的にもまずサッカー仲間であるという暗黙の了解があり、アジアではお互いにブラザーと呼び合う習慣があります。国際会議が年に何回も定期開催されているので同じホテルで宿泊し、一緒に飲み食いもよくします。

 

そんなブラザー同志の国際試合などに関する交渉ではあまりとげとげしいことは言えないという雰囲気もあり、生き馬の目を抜くビジネスとは一線を画していました。

 

純粋なビジネス界ではもっとドライな国際交渉の方が多いかもしれませんが、それでも相手と中長期に商売を続ける関係を築きたいケースが多いことも事実です。

 

そのような場合、やはり交渉は明るく、ユーモアを交えてやるというのが王道ではないかと私は考えます。

 

 

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松永 隆

 

1983年 一橋大学法学部卒業。

住友商事㈱に20年間勤務。中国、米国、カナダにて海外勤務を経験。

帰国後、夢であったサッカー界に転職することを決意。

2004年 公益財団法人日本サッカー協会(JFA)に入局。以後国際部部長、国際部担当部長として勤務。

2020年 退職後もJFA国際部コンサルタントとしてサッカー界に関わり続ける。

2021年 広島経済大学 経営学部スポーツ経営学科教授

JFA公認C級ライセンスコーチ、合気道初段。

※本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『ビジネスパーソンのための超実践的交渉術 ⽇本⼈の交渉のやり⽅』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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