自動レジや自動運転をはじめ、日常生活においてあらゆる場面で自動化が進むなか、「クオンツ」や「ロボアドバイザー」など、投資の世界でもコンピューター・AIを用いる方法が生まれています。これらが進化し、投資で人間を負かす日は来るのでしょうか? 株式会社ソーシャルインベストメントの川合一啓氏が解説します。
「人間」Vs.「コンピューター・AI」…投資の世界で勝つのはどちらか ※画像はイメージです/PIXTA

コンピューターで運用…偉大な投資家に並ぶ「クオンツ・ファンド」の実力

投資をする人ならばおなじみの、ウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロス、ピーター・リンチ、レイ・ダリオといった偉大な投資家たち。

 

彼らはファンドマネージャーとして、資金を運用して利益を出し続けてきました。自らの合理性や冷静さを武器に、安く買って高く売り、利益を積み上げてきたのです。

 

ところが、彼らと同等またはそれ以上の成績を上げている「クオンツ・ファンド」が存在することをご存じでしょうか?

 

ジム・シモンズ率いる「メダリオン・ファンド」というクオンツ・ファンドは、1988年から2018年の期間中、年平均39.1%のリターンを上げました。これは、上記4名の投資家の成績を優に上回るものです(グレゴリー・ザッカーマン『最も賢い億万長者 数学者シモンズはいかにしてマーケットを解読したか』を参照)。

 

また、クオンツの開拓者ともいえる数学者のエドワード・О・ソープは、1969年11月から1988年12月の期間中、2つの「PNP」というファンドを運用し、それぞれ年平均19.1%、15.1%というリターンを上げています。そしてその間、一四半期も損を出さなかった安定性は特筆すべきものです(エドワード・О・ソープ『天才数学者ラスベガスとウォール街を制す 偶然を支配した男のギャンブルと投資の戦略』を参照)。

コンピュータ・AIが投資をする世界…人間は勝てる?

「クオンツ」とは「Quantitative(数量的、定量的)」から派生した言葉で、一般的に数学的手法を用いて市場動向を分析して投資をすることや、する人たちのことをいいます。数学的知識とコンピュータを用い、過去のデータを生かして、なんらかのアルゴリズムを開発して投資をするのが、クオンツです。

 

また、近年は一般の投資家でも、AI(人工知能)を利用した「ロボアドバイザー」サービスによって、投資商品の買付や運用などすべてを一任したり、最適な資産運用の配分などの助言を受けたりすることができるようになっています。

 

人間社会を反映する投資のような不確実な世界では、コンピュータ・AIが人間に勝つのは無理だ、と思う人もいるでしょう。

 

しかし前述のとおり、大物投資家に匹敵する、またはそれ以上の成績を残すクオンツも存在しています。また、AIにはデータが蓄積されるたびに自ら学習する性質もあります。そのため、いよいよコンピュータ・AIが人間以上の投資成績を出す日が来るのではないか、と考える人もいるのではないでしょうか。