(※写真はイメージです/PIXTA)

癌治療でも外科でも、救急の現場でも美容分野でも、「医療の名の下の犠牲」が発生する構造が、残念ながら日本の医療にも存在する。これらは何故発生し、どう事前に防げるのか。「美容医療国際職人集団」と言われるJSAS会員であり、高須克弥医師の孫弟子にもあたる医療法人美来会理事長、九野広夫医師に解説いただく。氏は、美容医療の他院修正専門医院を立ち上げ、不幸な医療事故や医療過誤を数多く目にしてきたその道のスペシャリストである。

優秀である筈の日本の外科医の世界で、何故ここまで問題が大きくなってきたのか?

こうした従来の方法を芸術的にまで昇華させた形成外科学的伝統技術ならば、先天奇形や機能障害、外傷や腫瘍切除後等に苦しむ患者さまたちに対して、(被るリスクよりも得られるメリットが上回る等の)厳格な基準を設けて充分に整備されたうえで、適応される余地が充分に残されるべきです。もちろん技術伝承は必要不可欠な陶冶の歴史と発展の可能性を具有します。

 

しかしながら眼瞼下垂治療に携わる医師たちによる適応の恣意的拡大解釈や、切開・異物の乱用および独善的手術によって、様々な合併症で患者さまを苦しめている事例が数多く存在しています。「これしか治療法が無い」と言う集団的思い込みが悪しき惰性の因習となって加害者集団を形成しているという、典型的な“時代”の構造問題をもっています。

 

従来法の致命的な欠陥や、治せない合併症がありつつも規制されず従来法がまかり通っていた背景には、「眼瞼下垂を治してあげたのだから、その引き換えにその程度の合併症は仕方がない」という医師側の勝手な観念が存在し続けていたからなのではないでしょうか。

 

ですが「仕方がない合併症かどうか」は本来、全手段とあらゆる功罪の情報を与えられたうえで、患者さまご自身が自由に選択する自己決定権に属する事象の筈です。医師たち個々人を批判したいのではなく、被害を被った患者さまたちの代弁者として、現状から脱却するための新技術と合併症治療法を啓蒙する必要性があると私は考えています。

 

限界と構造的欠陥がある眉上・眉下切開、前額(またはコメカミ)リフト術そのものを見直し(或いは捨てる英断をし)、厳格な適応基準を設けてアウフヘーベン(弁証法的解決)をしなければならない“新時代”が来ているのです。

眼瞼下垂治療の有効で低リスクな代替法とは?

上眼瞼や眉、コメカミを含む前額を4Dで捉えた、有効で低リスクな眼瞼下垂の新治療法とは、(適応によっては数㎜しか切開しない上眼瞼脱脂や目頭切開を併用することがありますが)特殊な埋没法(新挙筋法)と自己組織充填技術です。先ず実例(30歳女性、11年後の経過を診た、当時軽度若年性仮性眼瞼下垂の治療例)を紹介します。

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