(※写真はイメージです/PIXTA)

「売上の管理が適切にできていなかった」「後から無申告であることに気づいた」等の理由で、事業者に対し税務調査が行われることがあります。その際に質問応答記録書への署名を求められた場合、同意の証拠として重加算税の賦課に踏み切られてしまうケースもあるため、署名すべきかどうかは重要なポイントとなります。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、税務調査について野﨑洋平弁護士に解説していただきました。

 

冤罪的課税を防ぐには

それでは、冤罪的課税を防ぐためにはどのようにすればよいのでしょうか。

 

まず多くの方は、税務調査が来ると聞くだけで、警察から捜査を受けるのと同じような心理状況になってしまうのではないかと思います。

 

自分は何か悪いことをしてしまったのではないか、脱税を指摘されて逮捕されてしまったらどうしようかと、実際にはそのような心当たりがない方でも、ふと頭をよぎることもあるのではないかと思います。

 

このような税務調査に対する誤ったイメージを払拭することがまずは大切なことです。

 

警察の捜査は、犯罪者を取り締まる目的で行われているので、事件がなければ捜査もありません。

 

一方、税務調査は、申告納税が正しく行われているかを確認する目的で行われるものですから、会計処理を全く問題なく行っている納税者に対しても行われるのです。

 

もちろん、脱税の取締りを目的とした税務調査も一部には存在しますが、それは例外的なものであって、あくまでも税務調査は、申告書の内容に誤りがないかを調査することが最大の目的であって、当初より追徴課税や罰則の適用を目的として行われるものではありません。

 

また、調査官は、日々相当な数の調査をこなしている税務調査のエキスパートであり、その知識と経験に裏付けられた精密な調査によって、適切かつ公平な課税が実現されていることがほとんどであり、全く心当たりのない事柄に基づく課税がなされるということはないといってよいでしょう。

 

ただし、調査官であっても、課税の可否について容易に判断ができないようなケースというのは存在します。

 

そのような場合に、調査官としては、課税すべきであると考えているが、納税者としては、課税がされるべきではないと考えて、両者の主張が対立することによって、いわゆる冤罪的課税が生じ得るのです。

 

したがって、冤罪的課税を防ぐためには、税務調査の目的を正しく理解し、調査官に対して、申告内容について証拠に基づいた適切な説明ができるように日頃から準備をしておくことが何より重要であるといえるでしょう。

調査官と納税者の主張が対立した場合の対処法

では、このように、調査官と納税者の主張が対立した場合はどうすればよいのでしょうか。

 

もちろん、まずは調査官に対して、納税者の主張を的確に表明することです。その際に、納税者の主張を根拠づける客観的な証拠がどれだけ用意できるかというのが一番重要になってきます。

 

また、先ほど述べたとおり、調査官は税務調査のルールを熟知していますから、納税者側には圧倒的な情報格差が存在しています。ですので、できれば税務調査のルールに熟知した税務代理人を立てて話し合いを進めた方がよいと思います。顧問の税理士がいれば、まずは顧問税理士に相談するのがよいでしょう。

 

また、調査官の主張と納税者の主張に隔たりがあり、解決の糸口が見出せないでいる場合には、税務調査を取り扱っている弁護士に相談することをお勧めします。弁護士であれば、税務調査において、納税者の主張に沿った適切な証拠の収集・提示をすることができますし、税務調査後の不服申立や裁判にも対応することができます。

 

税務調査を何度も経験している方はそう多くはないでしょうから、Sさんのように、調査官から言われたことに対してどのように対応すればよいのかわからずに、結果として自己に不利益な行動をしてしまう方が少なくないと思います。

 

正しい知識を持って臨めば、税務調査は決しておそれるものではありません。それでも自身で対応するのは不安だと思われた場合は、税務調査の連絡があった段階で、一度専門家に相談されてみるのがよいでしょう。

 

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