(※写真はイメージです/PIXTA)

10月11日からは1日の入国者数上限が撤廃され、昨今の円安の影響もあり約2年半ぶりに海外観光客が押し寄せそうです。外国人だけではなく日本人の検疫もスムーズになり、旅行ブームに火が付く予感がします。この環境の下、先行する世界の投資家からは、航空機への投資が再び脚光を浴びています。コロナ禍後のインフラ投資戦略として、なぜ航空機が有望視されているのか、航空業界ではいったい何が起きているのか──本連載では、そんな「航空機投資」の魅力をプロが徹底解説します。第5回目となる本稿では、航空機の供給大手2社、ボーイング社とエアバス社による寡占状態について見ていきます。

航空機の開発・生産に必要なコストと利益の関係

ボーイング社とエアバス社の2強はデザインエンジニアリング、生産工程で常に革新を積み重ねた結果、さまざまな工程が効率化(≒コストダウン)されており、2強の水準にまで達するのは容易なことではありません。

 

加えて開発や量産に係る設備投資は膨大であり、例えばボーイング社の主力工場であるボーイング・エバレット工場は巨大の一言。『世界最大の容積を持つ建造物』としてギネス認定されているほどです。工場全体で4万人が勤務しており、秒速数ミリのスピードで流れ生産を行っています。高度な技術力と膨大な資金、無数の労働力によって航空機の供給は行われていますが、それぞれが非常に高い参入障壁となっていますし、同時に2強も現在の生産能力を大幅に増強することは簡単ではありません。

 

航空機の開発・生産にどれだけコストが必要かお分かりいただけたことかと思いますが、これだけの資本と労力をかけて開発した航空機が本当に開発コストを回収し利益を生むほど販売できるかはわかりません。

 

過去の例としては、マクドネル・ダグラス社のDC-10という航空機は事故が頻発したために型式証明が停止となり、世界中で運航が禁止となりました。その後の事故調査委員会の報告では、事故の原因は航空機の設計や製造ではなくエアラインの整備不良であるという結論が出されましたが、マクドネル・ダグラス社の信用回復は芳しくなく、ボーイング社によって買収されました。

 

このように航空機ビジネスは技術的・資本的に高い参入障壁があるだけでなく、参入後も非常にリスクが高い産業です。

 

将来的には日本を含めた他国が参入してきたり、革新的な航空機をベンチャー企業が開発したりするかもしれませんが、現在の寡占状況は今後しばらくの間は継続すると見られており、短期間の間に航空機の需給バランスが大きく崩れたり変化したりする可能性は低いと言えます。

増補改訂版 無敵のグローバル資産 「航空機投資」完全ガイド 

増補改訂版 無敵のグローバル資産 「航空機投資」完全ガイド 

航空機投資研究会、荒井 邦彦、野崎 哲也

幻冬舎メディアコンサルティング

「航空機が投資の対象になる」 世界中の金融機関や個人投資家が注目する「航空機投資」の魅力を徹底解説! 世界経済に大きな影響を与えた新型コロナウイルス 航空業界では何が起きたのか―― コロナ後の投資戦略として…

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