(※写真はイメージです/PIXTA)

「司法書士」といえば、まさに相続のプロというべき資格の一つ。しかし佐伯知哉氏(司法書士法人さえき事務所 所長)は、「生前贈与」の相談は結局「しない」という選択に行きつくことが多く、あまり司法書士の仕事にならないといいます。その理由を、生前贈与の問題点や、生前贈与の必要性の両面から見て行きましょう。

その生前贈与は本当にする意味があるのか?

■そもそも相続税が課されない人に「相続税対策としての生前贈与」は逆効果

たとえば、そもそも相続税が課税されない財産規模であれば、生前贈与をしても相続税対策には一切なりません。

 

そもそも相続税とは、財産規模が一定以上でないとかからない税金です。それなりの財産がある方であれば、生前贈与などをして遺産を目減りさせておくと相続税対策になりますが、そもそも相続税がかからない資産規模であれば、生前贈与で遺産を減らしても意味はありません。

 

贈与をするにも、司法書士や税理士に依頼すると報酬が発生しますし、自分で行うにしても、たとえば不動産の名義変更であれば登録免許税という税金がかかってきます。「何となくやっておこう」という考えで生前贈与をすると、やっただけ費用がかかってしまい、損することになってしまいます。生前贈与をする意味があるのか否かはよく検討しなくてはいけません。

 

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【生前贈与する意味がない場合】

●相続税が課されない財産規模なのに生前贈与をしても相続税対策にならない

●深く考えず「何となく」で生前贈与すると、費用がかかってしまい損をする

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逆に「生前贈与が有効な人」とは?

■「相続税がかかる程度」の資産規模がある方、認知症対策をしたい方

相続税対策として贈与税の非課税枠などを使い、財産を減らしておくことのできる人です。

 

相続税がかかるくらいの結構な資産を持っている方であれば、生前贈与を使って財産を減らすことが有効です。

 

上記でも解説したように、贈与税は税率が非常に高いのですが、贈与にも一定の非課税枠があります。これらを使って贈与税がかからない形で贈与をしていけば、被相続人がもともと持っていた財産を減らすことができます。このような場合には相続税対策として有効ですので、生前贈与をしておくとよいのではないでしょうか。

 

また、生前贈与は認知症対策としても使うことができます。認知症になる前に財産(不動産や自社株など)を贈与で渡しておくのです。

 

不動産を所有している方が認知症になってしまうと、売買契約が締結できなくなるため、不動産を処分できなくなってしまいます。また、会社を経営している方やオーナー社長などの場合、認知症などで判断能力が低下すると株の議決権が行使できません。株主総会を開催できず、会社の運営ができなくなってしまいます。そんな事態を防ぐために、承継者が決まっているのであればその人に贈与することを検討できます。

 

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【生前贈与をする意味がある場合】

●相続税対策として、贈与税の非課税の特例などを使って財産を減らしておく

●認知症対策として、先に財産(不動産や自社株など)を贈与しておく

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