長引く円安…景気先行き不透明も海外投資家が「日本の不動産」に注目したワケ

CBREレポート「不動産投資市場を牽引する海外投資家2022年の投資対象とは」(2022年4月)より

長引く円安…景気先行き不透明も海外投資家が「日本の不動産」に注目したワケ
(※写真はイメージです/PIXTA)

ダラスを本拠とする世界最大の事業用不動産サービス会社、シービーアールイー株式会社(CBRE)。円安、隣国の戦争、物価上昇…さまざまな要因で景気先行きの不透明感が高まるなか、海外不動産投資家が日本の不動産に注目した理由を、同社リサーチ部門ディレクター本田あす香氏解説します。

海外投資家の取引が大型化する理由

海外投資家の取引対象は大型化している。2022年も、1,000億円を超える複数の入札案件に多くの海外投資家の名前が挙がった。過去の海外投資家による取引の価格帯別の件数割合を見ると、100億円以上の件数割合は2014年から上昇し始め、2017年以降は概ね5割前後で推移した。

 

投資対象が大型化する主な理由は2つあると考えられる。1つ目は、国内投資家と比較して日本の組織が大きくないこと。投資家によっては、限られるマンパワーで効率的な投資を行うため、より大きな案件を選別していると考えられる。

 

2つ目は、投資戦略の多様化。海外投資家においては従来から高い利回りを目的とするバリューアッド投資が中心だった一方で、2014年ごろからはコア投資も増加している。コア投資は安定性を重視してリスクを抑えた投資を行う。条件を満たす優良な物件を志向する結果、高価格帯の物件が投資対象となりやすい。

 

[図表3]: 海外投資家による取得(価格帯別件数割合)

円安はインバウンド投資の追い風になるのか?

2022年3月16日に米FRB(連邦準備制度理事会)が政策金利の引き上げを決定した。一方、日銀は金融緩和政策を続行し、長期金利の上限を0.25%に抑え込む姿勢を示している。

 

今後、日米間の金利差がさらに拡大することで円安も引き続き進行するとみられる。円安は海外投資家が日本の不動産を取得する際に基本的にはプラスに働く。ただし、地政学リスクならびに物価上昇率の加速など、景気先行きの不透明感が高まっているため、海外投資家は選別姿勢をより強めることが予想される。

 

[図表4]ドル円レートと海外投資家の投資額

 

 

本田 あす香

シービーアールイー株式会社(CBRE)

リサーチ

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※本記事はシービーアールイー株式会社(CBRE)のスペシャルレポート「不動産投資市場を牽引する海外投資家2022年の投資対象とは」より一部抜粋・再編集したものです。
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