(※写真はイメージです/PIXTA)

一般の人が「タダでもいらない」と思うボロ空き家が世の中にはたくさんあります。その中から「お宝」物件を見極める方法があります。どのように見つけるのでしょうか。椙田拓也氏、カネコツトム氏の著書『「空き家」で儲ける! 驚異の利回り100%不動産投資術』(宝島社)で解説します。

修繕費がかかる「雨漏り」「傾き」「シロアリ」

▶ポイント②修繕・リフォーム

修繕・リフォームのレベル感も要確認です。ちょっと壊れているという程度ではなくて、大きな修繕費がかかるもの。特に「雨漏り」「傾き」「シロアリ」は、大きな交渉材料になります。

 

●雨漏り

天井に雨染みがある空き家はよくあります。まずはその雨染みが、過去のもので跡が残っているだけなのか、それとも現在進行中のものなのかを確認します。雨の日の当日、もしくは翌日に現場へ行き、まだ濡れていたり、ボタボタと水滴が落ちていたりするなら大幅値引きのポイントになります。もちろん進行は止まっていても指値はします。

 

現在進行中の場合は、雨漏りのポイントを探して穴の開いているところだけ漆喰やコーキングで塞ぎ、天井に雨染みがあってもそれは見た目だけの問題なので、直さなくてもいい、という考え方です。

 

●傾き

空き家を内覧する際は、水平器を持っていくことをおすすめします。何もない状態で、ただ「傾いてますね」と言っても説得力がありません。

 

水平器を取り出して実際に傾きを測ってみせて、売主や仲介に「○度も傾いていますね~」「こんなに傾いていると厳しいですね」と伝えましょう。

 

手元に水平器がない場合は、iphoneの計測アプリで代用するのも一手です。ただし、建物の傾きは1/1000で計測するのが基本なのですが、iphoneのアプリは1/100単位なので説得材料として十分な数字がとれないかもしれません。

 

傾きの修繕は、ジャッキアップして地盤改良をすると300万円程度かかります。ただし、これは正規の直し方です。

 

私たちの場合、「レベル調整」という方法で床の傾きを補正しています。この場合、よく見ると部屋が少し歪んでいるようになりますが、気にするレベルではありません。このレベル調整であれば、面積にもよりますが数万円程度で傾きが修正できます。

 

ただし傾きでも、現在進行形で沈下し続けている物件は要注意です。その場合、直すのに500万円はかかりますので、売値が1000万円なら500万円以下で価格交渉しましょう。

 

現在進行形で沈下しており、かつ擁壁の上にある場合は、直すのにさらに莫大なお金がかかりますので購入は見送るのが賢明です。

 

●シロアリ

世間一般では「シロアリ被害のある物件は買わないほうがいい」といわれますが、正確には「金額次第ではシロアリ被害のある物件も買ったほうがいい」といえます。シロアリ対策費用を引いた金額で買えるのであれば問題ありません。

 

シロアリは多くの場合、過去の被害の痕跡だけが残っているケースも多く、アリの侵食が現在進行形で進んでいるケースは少数派です。これは目視すればすぐにわかります。

 

ちなみに、シロアリを発見したら、それが過去の痕跡でも生きている場合でも、大げさに驚くようにしましょう。売主が値下げをする要因になるかもしれないからです。

 

なお、割引で買えたあとは、大工さんに簡単に直してもらいます。柱が食われていても、まるごと取り替えるわけではなく、柱のスカスカになった部分だけ切って上下を支えるなどの補修方法が確立しています。工事費用は数万円から数十万円で済みますので、安心してください。

 

大工さんの工事が終わったあとは、「防水一番」 という高性能の防水塗料を吹き付けます。この塗料の成分は「水ガラス」という無機物です。木材に染み渡るように塗ると表面がコーティングされます。この塗料が染みた木材をシロアリが食べると、栄養を吸収できずに餓死してしまいます。もともと防水が目的の塗料なのですが、副産物としてシロアリを撃退する効能も付いているわけです。

 

この塗料を塗るのも、大工さんにお願いしましょう。本来、塗装は大工仕事ではありませんが、「この塗料は透明なので、クオリティはまったく気にしません。ただ、塗ってくれさえすればいいです」と説明すれば、引き受けてくれるはずです。

 

本来であればシロアリ駆除会社、柱を直す大工さん、塗装する塗装業者が出てきて100万円程度かかるところも、作業内容を最小限に絞ることで、きちんと対策ができるにもかかわらず非常に安価で済むわけです。

 

なお、最近急速に勢力を拡大している「アメリカカンザイシロアリ」という西洋シロアリは、まさに恐ろしいアリなので要注意です。「日本のアリは下から、西洋のアリは上から」と言われるように、乾いた木材中のわずかな水分でも生育でき、建物下部だけでなく、乾燥している小屋組材まで食い荒らすと言われています。

 

▶ポイント③残置物

格安で出ている物件には「残置物」が残されていることが多いです。

 

残置物とは、前の所有者が残した荷物のこと。代表的なのは仏壇、テーブル、ソファなどの家具家電、押し入れの中にいろいろなものが詰まっていることもあります。夜逃げの場合などは、まるで昨日まで生活していたかのように、家財がそっくり残されています。

 

残置物は交渉して売主に片付けてもらうのが基本ですが、NOと言われるケースも多いです。こうした場合、廃品回収の業者さんに依頼すると、大抵の場合高い見積もりが出てきますので、それをそのまま見せて「50万円かかります」と伝えれば、その分を値引いてもらうことができます。

 

実際には、便利屋さんや遺品回収の業者さんに頼めば、1㎥あたり、1万5000〜2万円で片付けることができます。あくまで相場なのでその値段では断られる可能性もありますが、その場合は原価に近いかたちでお願いしましょう。

 

また、本ならブックオフが出張で取りに来てくれますし、リサイクル業者さんも出張で来てくれて買い取った物に応じた金額を払ってくれるケースもあります。

 

和服や貴金属なども業者さんを一斉に呼んでお金になるものは換金して、お金にならないものは便利屋さんなどに頼んで処分してもらうのがいいでしょう。

 

仏壇、位牌は引き取り費用が高いのですが、「ジャパンレトロ」といって海外に高値で売れたりするケースもあるらしく、専門に引き取る業者もいるようです。

 

田舎で家が広く、個室も多い場合は、1部屋に残置物をすべて詰め込み、貸さない部屋(開かずの間)を作るケースもあります。これが最もコストが低く、移動するための人件費だけで済みます。もしくは、残置物を庭に置いてブルーシートをかけて対応するというケースもあります。

 

残置物は処分してもらうから高いのであって、寄せて置いておくだけなら、大幅にコストカットができるわけです。

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    本連載は椙田拓也氏、カネコツトム氏の著書『「空き家」で儲ける! 驚異の利回り100%不動産投資術』(宝島社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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