(※写真はイメージです/PIXTA)

大量に暗記しようと意気込んで多くの時間を割いて暗記しても、時間の経過とともに忘れてしまってガッカリすることはよくあります。効率的な記憶方法はあるのでしょうか。記憶力日本選手権大会6回の最多優勝者の池田義博氏が著書『世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

記憶が消えていくスピードは誰でも同じ

そもそも脳は、オーバーフロー防止のためになるべく物事を覚えないようにできていると紹介しましたが、同じ理由で、一度覚えたものもすぐに忘れるようにできています。この忘れていくスピードに能力の差はなく、誰でも等しく同じスピードで忘れていきます。

 

本連載を読んでいる方の中には、すでに知っている方も多いと思いますが、何かを覚えた時点から時間経過とともに記憶が消えていく割合をグラフに表した、忘却曲線というものがあります。聞いたことがある方は多いのではないでしょうか。

 

池田義博著『世界記憶力選手権グランドマスターの 驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)より。
池田義博著『世界記憶力選手権グランドマスターの 驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)より。

まだ知らないという方のために、簡単に説明しておきます。まず、記憶というものは、一度覚えただけでは必ず消えていきます。問題は、どのくらいの割合で記憶の量が減っていくかということです。

 

何となく、時間が経つにつれて徐々に同じ割合で減っていく、要するに、グラフで表すと右下がりの直線になると思っていませんか。しかし、現実は違います。最初に覚えた時点から初期の段階で急激に記憶の量が落ち込むのです。

 

グラフを見ると、記憶の保持率は1日でおよそ3割にも落ち込んでいます。その後は、非常に緩やかに徐々に減っていくことになります。つまり、ここで一番重要なのは、記憶というのは保持したければ早めの手当が必要ということなのです。その手当というのが、いわゆる「復習」ということになります。

 

復習は、別の言い方をすると、同じ情報を繰り返し頭の中、つまり、海馬に伝えることでもあります。この何度も海馬に情報を送るということも、実は、海馬をだまして記憶に残す方法の1つなのです。海馬は、何度も訪ねてきた情報に対して、「こんなに何度も訪ねてくるのだからこの情報は重要に違いない。記憶に残しておこう」と判断してくれるというわけです。

 

ただし、闇雲に何度も繰り返せばいいのかというと、そういうわけでもありません。効率的な復習の間隔というものがあるのです。

 

復習に関して覚えておいていただきたい原則があります。それは、復習は忘れかけの頃に行うのがベストということです。覚えたばかりの頃に繰り返しても、復習としての効果は低いのです。反対に、間が空きすぎても、また覚え直しとなってしまい非効率です。ですから、忘れかけの頃に行うことが効率的な復習といえるのです。では、どういうタイミングで復習を行えば効率的なのでしょうか。

 

先程の忘却曲線の特性から考えると、まず何といっても覚えた次の日に一度目の復習は必須といえるでしょう。これで記憶はまた強化されますが、完全に定着するわけではありません。最初程ではありませんが、やはり忘却はそこからまた徐々に進んでいきます。ですから、また復習が必要になるわけですが、一度目の復習で少し強化されているので、次は少し間を延ばします。

 

今度は、1週間後に二度目の復習を行います。そして次は、そこから2週間後に三度目を、さらにそこから4週間後に四度目の復習を行うことで記憶を定着させることができます。

 

ただし、これはあくまでも目安です。多少個人差はあると思いますので、まずはこの間隔で試してみて、ご自身にとってぴったり合う期間を見つけてみてはいかがでしょうか。

 

池田 義博
記憶力日本選手権大会最多優勝者(6回)
世界記憶力グランドマスター

 

 

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本連載は池田義博氏の著書『世界記憶力選手権グランドマスターの 驚くほど簡単な記憶法』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、再編集したものです。

世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法

世界記憶力選手権グランドマスターの驚くほど簡単な記憶法

池田 義博

日本能率協会マネジメントセンター

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