(画像はイメージです/ココナラ法律相談)

会社で従業員を雇うと、毎月給与の支払い作業が発生し、時間外手当や各種控除の計算を行ったうえで銀行から振り込む形になります。給与計算システム等を導入している企業もありますが、マンパワーに頼っている企業も少なくなく、人為的ミスにより集計や入力の誤りが生じ、金額を誤って支払ってしまうようなケースも多くあります。そこで実際にココナラ法律相談のオンライン無料法律相談サービス「法律Q&A」によせられた質問をもとに、過払い賃金の返還方法について南宜孝弁護士に解説していただきました。

在職中に過払い給与を回収するための2つの方法

以上で解説しましたように、退職まで過払い分の回収を引き伸ばすことはあまりおすすめしません。

 

そのため、できる限り在職中に会社が支払う給与から回収するようにするべきでしょう。

 

給与から回収する方法としては(1)労使協定により、給与から控除する方法、(2)給与と過払い分とを相殺する方法が考えられます。

(1)労使協定による控除

(1)については、会社の一存で給与からの控除をすることはできません。

 

まず、賃金は従業員にとって日々の生活を支える重要なものです。そのため会社は従業員に対して、原則として給与を天引きすることなく全額払わなければなりません(賃金全額払いの原則)。

 

ただ、社会保険や税金等が給与から天引きされるように、賃金全額払いの原則にも例外はあります。過払い分の給与についても、過払い分を給与から差し引く内容の労使協定がある場合には、例外的に、給与から過払い分を天引きすることが認められます。

 

ただ、労使協定だけでは足りず、これに加えて、雇用契約書や就業規則等に、過払い分を給与から差し引くことを定めおくことまで必要です。

(2)相殺による回収

しかし、労使協定がない、あるいは、雇用契約書に過払いの給与に関する定めを設けていないケースは多いと思います。

 

このような場合であっても、所定の要件をクリアすれば給与と過払い分を相殺(そうさい)することはできます。

 

相殺が認められるためには、①相殺の時期、②方法、③金額等からみて従業員の経済生活を脅かさないことが必要となります。非常にわかりにくい内容ですので、一つずつ見ていきましょう。

①時期

まず時期については、過払いを支払った翌月から3ヵ月前後までに過払い分と賃金との相殺に着手します。

 

ただ、この時期の目安もケースバイケースです。

 

つまり、翌月の相殺ができたにも関わらず、合理的な理由なく放置したような場合には、たとえ過払いから3ヵ月であったとしても相殺が認められなかった事案があります。

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