(画像はイメージです/PIXTA)

ある資産家の独身女性が殺害された事件で、容疑者は女性と養子縁組した男性で、しかもその男性が拘置所で自殺するという驚くべき展開がありました。そこで問題になるのが、殺害された女性の資産の行方です。果たして相続権はどうなるのでしょうか。高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が解説します。

養子縁組が有効な限り、娘の財産は戻ってこない

冬樹さんの相続人である葉子さんが相続するとなれば、夏子さんの財産は陽子さんに相続されてしまうこととなってしまいます。

 

それでは、葉子さんが相続放棄をした場合はどうでしょうか。相続放棄をした場合は、冬樹さんには、子どもも両親もいないことから、相続人がいないこととなり、夏子さんの財産は国が取得することとなってしまいます。

 

そこで、春子さんが夏子さんの財産を取り戻そうとすれば、冬樹さんが相続人ではなかった、すなわち、冬樹さんと夏子さんの養子縁組が無効であることを主張立証していくことが必要となります。

 

よって、「夏子さんの1億円を冬樹さんに相続させないためには、養子縁組を無効とする必要がある」とする選択肢③も正解となります。

 

被相続人を殺害した可能性が高いのに、容疑者が自殺してしまったために容疑者の身内に相続されてしまうか、国に財産を取得されてしまうなんて、不合理な気がします。現在の民法を改正しない限り、このような不合理な事態が発生してしまいます。

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

高島 秀行
高島総合法律事務所
代表弁護士

 

 

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