(※写真はイメージです/PIXTA)

血圧が低下し短時間意識を失う「失神」。驚くことに日本人のおよそ5人に1人が、人生で1度は失神を経験するとされています。その原因と対処法について、東京ハートリズムクリニックの桑原大志院長が解説します。

失神は「心臓や肺の異常」でも起こる

「不整脈」…ペースメーカーの誤作動で失神する場合も

不整脈による失神は、神経反射性失神の次に多く起きていると考えられます。

 

不整脈には脈の乱れ方によって3つの種類がありますが、なかでも失神と関係が深いのは、脈が異常に遅くなったり、間隔が長くなったりする「徐脈(じょみゃく)」です。

 

特に、心臓を動かすために電気信号による刺激を生み出す「洞結節」の働きに異常が起こり、徐脈や心停止を起こす「洞不全症候群」や、心房から心室の電気的興奮の伝導が障害される「第2および第3度房室ブロック」が不整脈の原因となる症例が目立ちます。

 

また、ペースメーカーの誤作動や薬剤誘発性徐脈も、不整脈の原因のひとつです。

 

なお、まれにではありますが、脈が異常に速くなる「頻脈」も失神の原因となります。特に心室頻拍や、突然死の原因にもなる「トルサード・ド・ポアント」、上室性頻拍症が失神を招くことがあります。ただし頻度的には非常にまれで、多くの場合は先述の通り、徐脈が失神の原因となります。

 

心臓や肺の異常で発生…「心臓肺器質的疾患」

「心臓肺器質的疾患」とは、心臓や肺に物理的・物質的な異常がある疾患のことです。失神を引き起こすリスクのある疾患として代表的なものに、「大動脈弁狭窄症」と、「肥大型心筋症(HCM)」があります。

 

大動脈弁狭窄症とは、心臓の弁のひとつがきちんと開かず、心臓から全身に血液が送り出しにくくなってしまう病気のこと。一方、肥大型心筋症とは、心肥大を起こす原因となる高血圧や弁膜症などの疾患がないにもかかわらず、心筋が肥大する病気のことです。

 

特に肥大型心筋症の場合は、最大25%の患者に失神が起きるとされていますが、これらはエコーなどの検査をすれば比較的容易に疾患を見つけることができますし、失神予防のために薬を投与されていることもあるため、日常臨床上、これらの疾患によって起きる失神が問題になることはあまりありません。

 

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※本記事は、オンライン診療対応クリニック/病院の検索サイト『イシャチョク』掲載の記事を転載したものです。