(※写真はイメージです/PIXTA)

人生100年時代。NPO法人「老いの工学研究所」理事長の川口雅裕氏は、書籍『年寄りは集まって住め』のなかで、「高齢期の幸福」を考えるにあたっての「孤独の問題」について解説しています。

高齢者とその子が「近居」をするメリットは?

ある高齢者住宅では、毎日必ずラウンジに出てきて本や新聞を読んでいる男性がいます。ラウンジの近くにはスタッフが常駐しており、近くで人が行き交い、少しの賑わいもあります。

 

読書は家の中でもできますが、このような場にいれば安心できるのでしょう。この人は毎日一人でいますが、他の人たちから離れてはいませんし、もし何かあればいつでも助けを求められるような緩いつながりの中で暮らしていて、私には孤立もしていなければ、孤独でもないように見えます。

 

こう考えてくると、高齢者とその子が同居ではないものの近くに住む「近居」は優れた住まい方だと思います。高齢者にとっては、子や孫というつながりが近くにある安心があり、子や孫だから助けを求めやすいし、いつでも会って寂しさを軽減できるという条件が揃っているからです。同居していると子や孫の生活に巻き込まれてしまって、かえって孤独を感じることもあるでしょう。

 

これが近年、近居を望む人が増えている理由かもしれません。

 

 

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川口 雅裕


NPO法人「老いの工学研究所」理事長。 1964年生。京都大学教育学部卒。 株式会社リクルートコスモス(現株式会社コスモスイニシア)で、組織人事および広報を担当。 退社後、組織人事コンサルタントを経て、2010年より高齢社会に関する研究活動を開始。約1万6千人に上る会員を持つ「老いの工学研究所」でアンケート調査や、インタビューなどのフィールドワークを実施。高齢期の暮らしに関する講演やセミナー講師のほか、様々なメディアで連載・寄稿を行っている。 著書に、「だから社員が育たない」(労働調査会)、「速習!看護管理者のためのフレームワーク思考53」(メディカ出版)、「実践!看護フレームワーク思考 BASIC20」(メディカ出版)、「顧客満足はなぜ実現しないのか」(JDC出版)、「なりたい老人になろう~65歳からの楽しい年のとり方」(Kindle版)がある。

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『年寄りは集まって住め』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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