日本は世界的に見て起業するビジネスパーソンの割合が低く、先進国のなかで最低水準ともいわれています。古来から農業、村社会で生活を営んできた協調性の高い日本人は、令和を迎えた現在でも、組織に属していることに安堵を覚えやすいのかもしれません。そんな日本の会社組織を上から下から支える中間管理職・課長の意外と知られていない平均給与を、厚生労働省のデータをもとに紐解きます。

部長よりも平均約10万円低い、課長の給与

課長職の平均給与は男性が48万4,600円、女性は42万2,100円、男女計が47万6,300円です。それぞれ非役職者の平均給与との差は、男性が18万8,400円、女性が17万3,200円、男女計が19万8,900円です。

 

一方で、部長職の平均給与(男女計)は57万7,900円です。すなわち、ニッポンを支え中間管理職として頑張る課長たちは、男女計の平均給与で見たときに、非役職者よりも19万8,900円多く、部長よりも10万1,600円少ない賃金を手にしていることになります。

 

さらに【図表1】を紐解いていくと、課長職における平均給与の男女差は6万2,500円と記されており、歴然とした差が見られます。男性課長の平均勤続年数は20.8年で平均年齢が48.7歳。一方、女性課長の平均勤続年数は18.9年で平均年齢が49.0歳です。勤続年数・年齢はともに微差であり、昇進のタイミングやキャリアに大きな差が見られないことを考慮すると、男女の賃金格差は深刻な社会問題であることが分かります。

 

さらに、課長から部長へ昇進した場合には、平均給与の男女差は8万8,600円となります。課長給与の男女差は6万2,500円なので、これは課長時代から男女格差が29.46%増加した計算になります。ちなみに、非役職者における平均給与の男女差は4万7,300円ですので、非役職者から課長へ昇進するタイミングで賃金の男女格差は32.14%上昇しています。非役職者と部長職の比較では、87.32%も上昇しています。

 

すなわち、日本では昇進すればするほど男女における賃金格差が広がっていくのです。もちろん、非役職者のなかには雇用契約の内容によって、異動・転勤がない代わりに職務内容の範囲が限定されている社員もいれば、育児・介護などの理由で時短勤務をしている社員なども混在しているため、一概には語れません。とはいえ、管理職になってからも、上にいけばいくほど格差が広がるという一つの数値が導かれるのは問題です。

 

努力をたくさんした人、優秀な人が昇進するとは限りません。ですが、少なくとも全体をフォローし管理できると会社に見込まれるレベルには能力があるビジネスパーソン層ですら、男女格差が存在し、さらに昇進すればするほどその差に広がりを見せるのは嘆かわしい実態です。

 

男女雇用機会均等法の施行から36年。真に性差のない、洗練された社会が一日も早くおとずれることを願ってやみません。

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