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「相続発生と同時」に資産を圧縮して財産を移転する方法

前回は、生命保険を活用して「相続税・贈与税」を圧縮する方法を紹介しました。今回は、「相続発生と同時」に資産を圧縮して財産を移転する方法について見ていきます。

15年還付型医療保険〈通称:15年移転タイプ〉を活用

まず、相続発生と同時に資産を圧縮して移転するパターンについて説明します。

 

最初は、医療保険を活用したスキームです。この保険は、もともとは月払い、年払いなどでコツコツと保険料を支払っていき、15年経過すると投資した元本以上のキャッシュを受け取れる積立型の仕組みになっていますが、今回は、15年分の保険料を「全期前納」といって契約時にまとめて支払っておきます。

 

今回は、契約時に、父親(予定被相続人)が5000万円の保険料を投じています。契約形態は以下の通りです。

 

●契約者・・・父親

●被保険者・・・息子

●給付金受取人・・・父親

●還付金受取人・・・父親

 

以下の図表の「解約返戻率」「解約返戻金」を見てください。年々解約返戻率・解約返戻金が下がっていくのが見て取れます。仮に15年目当初に父親が死亡した場合には、保険契約自体が息子に相続されます(現物移転)。その結果、契約形態が次の通りとなります。

 

[図表]15年移転タイプ

 

●契約者・・・息子

●被保険者・・・息子

●給付金受取人・・・息子

●還付金受取人・・・息子

 

このときに、息子は「解約返戻金相当額」で保険契約を相続したということになります。15年目当初の解約返戻金は「150万円」ですので、息子は父親から、この保険契約を「150万円」という価値で相続することとなります。

 

このまま15年目を終えると、息子は解約返戻率100%にあたる5000万円の還付金を受け取ることができます。流れを整理すると、

 

●息子は「150万円」という価値で保険契約を相続し、

●15年目終了時に「5000万円」を受け取る

 

という流れになります。相続という視点で見ると、5000万円の財産を150万円の評価で受け取っているので、4850万円も圧縮して財産を受け継いでいることとなります。なかなか他の相続対策では考えられないことです。

 

息子が5000万円を受け取った際には、「一時所得」として課税されます。一時所得は、前述のとおり、「(収入―収入を得るために支出した額―50万円)×1/2」で計算されます。ここでの収入は、もちろん5000万円ですが、収入を得るために支出した額については、実は150万円ではなく5000万円になります。

 

保険契約を相続する場合には、父親が負担した保険料を、息子が負担した保険料として引き継げるため、息子は、5000万円支出して5000万円を受け取ったという形になり、一時所得は「ゼロ」となります。つまり、

 

●相続発生時は「150万円」の価値で相続をし、

●「5000万円」の受取時は、一時所得「ゼロ」

 

ということになります。ここまで圧縮できると、相続税の基礎控除内に相続財産がおさまってしまい、他の財産状況次第では「相続税がゼロ」ということにつながります。これが「評価額を圧縮して渡せる」生命保険の力です。

流動性のなさが欠点…資産を圧縮する目的にのみ活用を

もちろん、15年目当初で相続が発生するかどうかは誰にもわかりません。それまでに相続が発生することも考えられます。

 

5年目なら解約返戻率は68%、11年目なら解約返戻率は28%で、それぞれ32%、72%の圧縮となります。アパートなど賃貸不動産で相続対策を行うケースでは、30%前後の圧縮が一般的ですが、生命保険であれば、出口の金額が確定していて、かつ15年後に確実に100%投資元本の回収ができます。

 

不動産のように、出口の時価・評価を気にする必要はありません。基本的に15年もたてば、日本の多くの不動産の価値は「がた落ち」している可能性も高いですが、生命保険については契約時に出口の金額が約束されているのです。

 

デメリットを挙げるとすれば、流動性がないところです。いつ相続が発生したとしても、投じた元本が戻ってくるのは15年目終了時です。

 

相続が発生し、圧縮して資産を渡すことはできますが、投じた5000万円を100%回収するためには15年終了時まで待たなければなりません。納税資金にもなりづらいので、「資産を圧縮する」という1点で活用されることをおすすめします。

GTAC(ジータック)とは株式会社幻冬舎総合財産コンサルティング(GENTOSHA TOTAL ASSET CONSULTING Inc.)の略称。出版社グループの強みを生かした最先端の情報収集力と発信力で、「中立」「斬新」なサービスを相続・事業承継対策からM&A、国内外の不動産活用といった手法を駆使し、顧客の財産を「防衛」「承継」「移転」するための総合的なコンサルティングを行う。編著・共著に『相続税をゼロにする生命保険活用術』『究極の海外不動産投資』『法人保険で実現する究極の税金対策』『スゴい「減価償却」』(いずれも幻冬舎メディアコンサルティング)など。GTAC公式サイトhttp://gentosha-tac.com/

著者紹介

連載生命保険を活用した「税金ゼロ」の資産移転術

本連載は、2015年6月2日刊行の書籍『生命保険で実現する税金ゼロの財産移転』から抜粋したものです。

本連載は、一般的な生命保険活用スキームを示したものであり、データやスキームの正確性や将来性、投資元本の利回りや運用成果等を保証するものではありません。また、本連載は、2015年4月1日現在の法令等に基づいて作成しており、今後変更される可能性もあります。個別の具体的な法令等の解釈については、税理士等の各専門家・行政機関等に必ずご確認いただくようお願いいたします。掲載されている保険商品のイメージ図につきましては、概算値を表示しています。各スキームの導入時は約款や契約概要、パンフレットを必ずご覧ください。

なお、本連載で示している「契約者」とは、保険料を支出する人で、契約の変更・解約などの権限を持っている人、「被保険者」とは、保険をかけられる人、その対象となる体を提供する人のことをいいます。商品パンフレット等で「逓増定期保険」「長期平準定期保険」といった表記がなされていても、税法上の保険種類とは異なる場合があります。本連載では税法に基づいた保険の名称を採用していますので、ご注意ください。

 

 

生命保険で実現する 税金ゼロの財産移転

生命保険で実現する 税金ゼロの財産移転

編著 GTAC

幻冬舎メディアコンサルティング

所得税、相続税、贈与税・・・財産を移転するだけで多額の税金がかかる日本。しかし、生命保険という「箱」を活用すれば、あらゆる税金を回避しながら資産移転ができるのをご存知でしょうか。 本書では、幻冬舎グループの資産…

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