(※画像はイメージです/PIXTA)

「過去問」は、実践的な参考書です。志望校・受験校なら、やって絶対に損はない参考書です。解いたあとに見えてくる得点アップのための具体的な対策が、合格するためには最も大切です。塾なしで長男を志望校に入学させた塚松美穂氏の著書『「塾なし」高校受験のススメ』(プレジデント社)で解説します。

「過去問」は本番に近い実践練習になる

合格できるかどうかは、偏差値だけでなく、過去問の自己採点がとても参考になります。私立高校は、合格最低点が公表されている学校が多いですから、自分の得点が最低ラインより上であれば、その年は合格したことになりますね。

 

都立などの公立高校は、調査書点を加算した総合得点で合否判断をされ、入試合格点は公表されていません。そのため内申点を取れていた息子の場合、目安として都立国立高校の過去問では、国数英は入試平均点を、理社は90点を目標に設定しました。

 

これは、都立高校の受験生は偏差値や学力レベルの近いライバルが多く、過去問の平均点は最低限クリアしたいと考えました。理科と社会は都立共通問題で、自校作成問題校の受験生は、9割得点を目指している子が多いためです。

 

息子は、先取り学習をした夏休み明けの9月、国立高校の過去問に一度挑戦してみました。点数はあまり取れませんでしたが、以降、得点をアップするにはどこを補強していけばよいのかが、はっきりとわかりました。

 

例年、出題傾向は似ているため、点数を伸ばせる領域(問題)が見えるという意味で、早めに対策するほうが絶対いいのです。その時点では、合格者平均には届いていませんでしたが、5カ月後は無事合格しました。夏・秋の時点の点数に一喜一憂する必要はない、ということです。

 

過去問で志望校の出題傾向を知る。解き始めるなら先取り学習を。

 

▶どれくらい解く?

過去問は、実践的な参考書だと思います。志望校・受験校なら、やって絶対に損はない参考書なのです。そのため、受験する学校の過去問にプラスして、同じ自校作成問題で入試を行う都立高の過去問も解きました。各学校それぞれに特徴があるため多少の違いはありますが、出題の傾向は大きく見れば似ています。都立の自校作成レベルの問題を数解くためにはいい方法です。息子が挑戦した過去問を見てみましょう。

 

●過去問・都立高校4冊
内訳:第一志望校(国立)+他の自校作成問題3校(立川・日比谷・西)
●過去問・私立高校4冊
内訳:受験予定校(青山学院・中大附属・本郷)+併願優遇候補校
(※併願優遇校は受験せず)

 

第一志望対策に他の都立高校を含めた4冊を活用、全て自校作成問題校です。出題の傾向が違いすぎる問題は省きましたが、受験校と同レベルの学校であれば、全体的な出題傾向やボリューム、国語・英語の長文、数学の証明問題など実践的な良問が多いです。やって損はない過去問でした。

 

共通問題の都立(公立)を受験予定であれば、他県の共通入試問題に挑戦してもいいでしょう。

 

私立高校は、受験した高校以外に、候補に考えた学校の過去問も購入しました。これは出題傾向を把握する目的もあったためですが、学校のウェブサイトに過去問は掲載されているので、問題の傾向はそこからも知ることができます。私立は、入試がそれぞれとても特徴的です。志望校以外はやる必要はありませんが、受験する学校の過去問は必ず解いておきましょう。

 

過去問は全て購入する必要はありません。先述したようにインターネットから無料ダウンロードする方法があります。息子も、購入した過去問を解き終わったあとは、戸山や新宿高校など志望校と出題傾向が似ている学校のウェブサイトからダウンロードして解いていました。購入した過去問と組み合わせて、うまく利用してください。

 

このように中3の秋以降、受験プロジェクトの後半は、過去問の勉強が中心になりました。

 

過去問は、時間を計って集中して解くため、模試と同様、本番に近い状態での実践練習になります。加えて、自己採点後の答案からは「どの領域をあと何点伸ばすのか」など、合格に必要な学力分析が可能です。すなわち過去問は、合格への対策がより具体的に見える実践的な演習である、ということです。

 

志望校の過去問は繰り返し解く。出題傾向が似た学校の過去問にもチャレンジ。

次ページ「過去問」は入試本番と同じ条件で挑戦

※本連載は塚松美穂氏の著書『「塾なし」高校受験のススメ』(プレジデント社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

「塾なし」高校受験のススメ

「塾なし」高校受験のススメ

塚松 美穂

プレジデント社

たくさんの習い事に、塾を掛け持ちしている小学生。中学生になれば、学習塾にいくのが当たり前の世の中で、周りを見れば塾通いのクラスメートばかり。「塾にいかないと子どもたちは希望する進路に進めないのだろうか」という疑…

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