本記事は、フランクリン・テンプルトン・ジャパン株式会社が9月1日に配信したレポート『マクロ見通しー現実味を増すインフレ加速と景気後退』より一部を抜粋したものです。

FRBのFF金利誘導目標「4%」は適当か

先行きの見方においてジョンとフランシスの間に重要な違いがあるとすれば、それは痛みを伴う経済的揺り戻しの概念にあります。

 

FRBは現時点で今後半年間から9ヵ月間でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を4.00%に引き上げる必要があると予想しています。これはコロナ前の水準を1.50%上回る水準です。しかし、ソフトランディングのシナリオではそれほど急激な利上げは必要ではない可能性があります。

 

ジョンはディスインフレの初期の兆候を指摘しており(この点については後述)、その兆候は見た目にも明らかです。今後数ヵ月間でこうしたディスインフレの早期の兆候が一段と鮮明になれば、FRBの利上げと米国景気はともに現在懸念されているほど深刻なものにはならない可能性があります。

 

一方、フランシスは、当社の債券グループ最高投資責任者であるソナルと同様、FRBは2021年にインフレは一過性のものと見誤り、雇用に固執しすぎたとの見方を示しています。こうした独善的なスタンスは、景気がすでに過熱しているにも関わらず、QEを続けることにつながりました。

 

しかし、フランシスは先行きについて、ディスインフレが進行しているにも関わらず、FRBは信頼回復のために過度な利上げを行い、オーバーシュートする可能性があると懸念しています。

 

フランシスの見方では、FRBは昨年とは打って変わり今度は金融引き締めで同じように独善的なスタンスに陥っているようです。フランシスは経済的な痛みは2023年に軽度な景気後退という形で表れると考えています。

 

ソナルの見方がフランシスやジョンと異なるのはFRBの金融引き締めに関してです。ソナルは粘着価格CPIの上昇により賃金物価スパイラル(急激な物価上昇)の条件は整ったと指摘しています。

 

ソナルが好む政策はFRBが積極的な利上げによりインフレを打ち砕き、秩序を取り戻したボルカー時代のものです。ソナルの見方では、4.00%のFF金利ではインフレの撲滅に十分ではない可能性があります。

 

我々は、FRBの次の一手により多くのものが決まってくると考えています。ここで繰り広げられている楽観論と悲観論の衝突はFOMCのメンバーの間でも繰り広げられている可能性があります。

 

FOMCのメンバーの議論を解読するのは困難ですが、このような議論を公の場で行うほうが得策であると考えています。当社のエコノミストは各々の主張の根拠となる一連の経済データを集め、自らの主張の正しさを証明しています。それを検証してみましょう。

 

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