岸田首相が「アベノミクス」を継承するしかなかった意外な理由 (※写真はイメージです/PIXTA)

経済政策「アベノミクス」を掲げた第二次安倍政権は、見事に円安・株高を演出し、在任中の日経平均株価は約2.3倍の上昇をみせました。「アベノミクス」とは何だったのでしょうか。日本経済新聞記者の前野雅弥氏が著書『田中角栄がいま、首相だったら』(プレジデント社)で解説します。

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安倍政権は日経平均を2.3倍にしたが

■アベノミクスとは何だったのか

 

2020年9月に発足した菅義偉政権はアベノミクスを継承する方針を打ち出した。市場(マーケット)はこれを好感したが、実は好むと好まざるとにかかわらず、菅政権はアベノミクス路線を引き継がざるをえなかった。2021年10月からの岸田文雄政権も同様だ。安倍政権が劇薬を飲んでしまったからだ。

 

経済政策「アベノミクス」を掲げた第二次安倍政権は、見事に円安・株高を演出し、在任中の日経平均株価は約2.3倍の上昇を見せた。2000年以降発足の歴代政権では突出する。しかし、それではアベノミクスのおかげで日本経済は強くなったのだろうか。

 

確かに2012年12月に政権についた安倍晋三前首相は「強い経済を取り戻す」と表明、日銀の「異次元の金融緩和」で巨額マネーを供給する思い切った経済政策を実行した。それがマーケットで支持されたことも事実だ。政権発足時に1万230円だった日経平均は2018年10月に2万4270円の高値をつけた。在任中の上昇率は小泉純一郎政権の11.3%を大きく上回る。

 

ただ、実質GDP(国内総生産)成長率は年平均1.1%で株価の上昇率に比べるとかなり低い。好調な企業収益が賃上げに回って個人消費が活性化する「経済の好循環」を実現できず、実質成長率は2017年に2.2%まで高まったものの、2019年は0.7%に失速した。

 

潤ったのは企業だけで、円安を追い風に最高益を記録する企業が相次ぎ、民間の内部留保(金融機関除く)は2012年度の304兆円から2018年度には463兆円に積み上がったのとは対象的に、家計には恩恵が薄かった。戦後最長だった「いざなみ景気」(2002年2月〜2008年2月、73カ月)に次ぐ景気拡大期間(71カ月)だったと言われても、庶民にはピンと来ない。

 

経済成長率は低く、庶民も豊かさを実感できないにもかかわらず、なぜ株価だけが突出して高いのか。株価は確かに経済の体温を示す。体は衰弱しているにもかかわらず、なぜ体温だけ高いのか。国土交通省が、アベノミクスが始まった2013年度から「建設工事受注動態統計」の数字を改ざん、水増しし、GDPをかさ上げする実態はさんざんなのに、だ。

 

ここにアベノミクスの大きな仕掛けがある。GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)だ。GPIFの前身は年金福祉事業団。仕事は公務員の共済年金を除いた、サラリーマンや個人事業主などの国民の年金を管理し運用することだ。2019年6月末時点での規模は161・7兆円。日本の国家予算を大きく上回る巨額の運用資金を持つ、世界最大の機関投資家だ。安倍政権はここに手をつけた。国民の年金を使ったのだ。

 

どういうことか―。2014年10月、黒田日銀総裁が「量的・質的金融緩和」の拡大を公表したタイミングで安倍政権はGPIFの基本ポートフォリオを変更した。ここにからくりがある。変更前は12%±6%だった国内株式のポートフォリオを25%±9%にまで引き上げたのだ。

 

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    ジャーナリスト

    1934年、滋賀県彦根市生まれ。早稲田大学文学部卒業。岩波映画製作所、テレビ東京での勤務を経て1977年フリーのジャーナリストに。テレビ朝日系『朝まで生テレビ!』『サンデープロジェクト』でテレビジャーナリズムの新しい地平を拓く。政治・経済・メディア・コンピュータなど、時代の最先端の問題をとらえ、活字と放送の両メディアにわたり精力的な評論活動を続けている。著書に『日本の戦争』(小学館)、『塀の上を走れ 田原総一朗自伝』『大宰相 田中角栄 ロッキード裁判は無罪だった』(講談社)など多数。近著に『田中角栄がいま、首相だったら』(プレジデント社)がある。

    著者紹介

    日本経済新聞記者

    京都府出身。1991年早稲田大学大学院政治学研究科修了、日本経済新聞社入社。東京経済部で財務省、総務省などを担当。金融、エレクトロニクスの取材を経て、産業部エネルギー記者クラブ時代は石油業界の再編、アラビア石油の権益問題などを取材した。著書に『田中角栄のふろしき 首相秘書官の証言』『ビール「営業王」社長たちの戦い 4人の奇しき軌跡』(日本経済新聞出版社)、『負債650億円から蘇った男 アジア不動産で大逆転「クリードの奇跡」』(プレジデント社)。近著に『田中角栄がいま、首相だったら』(プレジデント社)がある。

    著者紹介

    連載令和の時代に田中角栄首相だったら?新「田中角栄論」

    本連載は田原総一朗氏、前野雅弥氏の著書『田中角栄がいま、首相だったら』(プレジデント社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

    田中角栄がいま、首相だったら

    田中角栄がいま、首相だったら

    田原 総一朗 前野 雅弥

    プレジデント社

    2022年は、田中角栄内閣が発足してからちょうど50年にあたる。田中角栄といえば、「ロッキード事件」「闇将軍」といった金権政治家のイメージが強いが、その一方、議員立法で33もの法案を成立させたり、「日本列島改造論」に代…

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