緑内障は「失明する病気」と思われがちですが、きちんと治療を受けていれば失明することはまずありません。ただし自覚が難しく、気がつかないうちに進行してしまうという恐ろしさも持っています。きちんと治療をうけるためには、病気についてよく知っておくことが大切です。メディアでお馴染みの眼科専門医・平松類氏の著書『自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識』(ライフサイエンス出版)より、知っておくべき緑内障の知識を見ていきましょう。

Q3. 日本人にもっとも多い「正常眼圧緑内障」とは?

⇒A. 開放隅角緑内障のうち眼圧が正常範囲にあるものをいいます。治療方法や注意点は同じです。

眼圧の正常値は10~20mmHg(ミリメートル水銀柱)といわれていますが、緑内障は眼圧が正常であっても治療することがあります。そのため、「正常な眼圧で治療するなんておかしくないですか?」などという質問をよく受けます。

 

一般的な開放隅角緑内障は眼圧が正常よりも高いことが原因で視神経がダメージを受ける病気です。

 

その一方で、正常眼圧緑内障とは開放隅角緑内障のうち眼圧が正常値にもかかわらず、視神経が弱いためダメージを受ける病気です。実は日本人は正常眼圧緑内障が非常に多く、緑内障全体の7割以上を占めています*

 

また、眼圧は24時間変動し、健康な人でも1日に3~6mmHg変動することもわかっています。正常眼圧緑内障だと思っていたら、睡眠中に眼圧が正常値を超えていたということもあるのです。したがって、正常眼圧緑内障と一般的な開放隅角緑内障の線引きは明確ではないので、あまり気にする必要はありません。緑内障であれば、治療方法や日常生活の注意点などはすべていっしょだと思ったほうがよいでしょう。

 

ただし、注意点があります。それは正常眼圧緑内障のほうが眼圧を下げる余地が少ないということです。眼圧を30mmHgから20mmHgにするのと20mmHgから10mmHgにするのでは後者のほうが治療は難しいといえます。つまり、眼圧の下降幅だけで見るならば治療効果は限定的になってしまうことがあります。

Q4. 緑内障は子どもでもなる病気ですか?

⇒A. 子どもでも緑内障になることがまれにあります。小児緑内障の治療は手術が基本になります。

緑内障というと、中高年の病気と思われがちですが、まれに小児でも発症することがあります。生まれつきの隅角異常が原因で生後早くから発症する原発先天緑内障や軽度の隅角異常があるため、若くして発症する若年開放隅角緑内障、はたまたほかの病気が原因で発症する続発小児緑内障などがあります。

 

原発先天緑内障の特徴は「牛眼」になることです。お子さんの場合は眼球が柔らかく、眼圧が上がると眼球が膨らんだり、変形してしまいます。そのため、角膜(黒目)が引き伸ばされ、大きくなってしまうのです。黒目が大きいので「かわいいね」といわれるのですが、これは病気のサインなので受診が必要になります。

 

 

一方、若年開放隅角緑内障は4歳以降に発症し、その患者さんの多くが10〜20代です。また、続発小児緑内障はダウン症や糖尿病などの疾患や先天的な目の異常などが原因で発症します。これらの小児緑内障は目薬の効果が出にくいので手術が基本になります。すべての緑内障に共通することですが、加齢による自然発生的な視神経のダメージも加わるため、進行を防ぐには日常生活の見直しも必要になってきます。では、どのような点に気をつければよいのでしょうか? 次回の食事・栄養編、生活編でくわしく見ていきましょう。

 

 

平松 類

二本松眼科病院 副院長

 

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    ※本連載は、平松類氏の著書『自分でできる!人生が変わる緑内障の新常識』(ライフサイエンス出版)より一部を抜粋し、再編集したものです。

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