Q2. 緑内障にはどんな種類がありますか？

⇒A. 緑内障には開放隅角、閉塞隅角、続発などのタイプがあります。自分のタイプを知っておくべきです。

緑内障と一口にいっても種類があります。研究によると「開放隅角緑内障（図表2）がもっとも一般的な緑内障で全体の約78％を占め、閉塞隅角緑内障（図表3）が約12％、続発緑内障が約10％ある*」といわれています（図表4）。そのほかにも小児緑内障がわずかにあります（後述）。少し難しいですが、知っておかないと目だけでなく、全身にも支障が出る恐れがあるのでぜひ知っておいてください。

［図表2］開放隅角緑内障 出所：平松類著『自分でできる！人生が変わる緑内障の新常識』（ライフサイエンス出版）

［図表3］閉塞隅角緑内障 出所：平松類著『自分でできる！人生が変わる緑内障の新常識』（ライフサイエンス出版）

［図表4］緑内障の種類と割合 日本緑内障学会ウェブサイトより改変引用

閉塞隅角緑内障は、房水といわれる眼球の中の水の出口である隅角が何らかの原因でふさがったり、狭くなったりすることで起こります。房水の流れが悪くなると眼圧が上がり、視神経がダメージを受けてしまいます。また閉塞隅角緑内障は発作が起きることがあり、激しい頭痛や吐き気などの症状が出ます。この場合、適切な処置を受けないと数日で失明する恐れがあります。

さらに閉塞隅角緑内障には、使用できない薬があります。かぜ薬や内視鏡を用いる際に消化管の動きを抑える薬、全身麻酔薬、向精神薬、睡眠薬などが使えません。もし、あなたが自分の緑内障のタイプを知らずに「緑内障」とだけ内科の医師に伝えた場合、使える薬が制限され、必要なときに適切な治療を受けられなくなることがあるので注意が必要です。

続発緑内障には、糖尿病網膜症や血管閉塞の病気による血管新生緑内障、瞳孔や水晶体に付着物がつく病気による落屑（らくせつ）緑内障、ぶどう膜炎などを原因としたものがあります。いずれの場合も緑内障の原因となっている病気の治療が先になります。実はこれらの緑内障の中には、原因となる病気が治れば進行が止まるケースがあります。つまり、このタイプは治る可能性があるわけです。とはいえ実際は、治療の結果として緑内障になってしまうことが多いです。この場合、一般的な緑内障よりも治療が困難になります。なぜなら、糖尿病や血管閉塞の場合は慢性的に血流が悪く、ぶどう膜炎は炎症を起こしやすいので、治療の過程でさまざまなトラブルが起こる可能性があるからです。

また続発緑内障の代表的なタイプとしてステロイド緑内障があります。これはステロイド薬の使用が原因の緑内障です。この場合、ステロイド薬を使わなくなるだけで緑内障が改善することもあります。ただし、使用を再開すると眼圧が上がって再度緑内障が進行します。病気によってはステロイド薬治療を中断できない場合があるので医師に相談してください。

先ほどもお話ししたようにもっとも一般的なのが開放隅角緑内障です。開放隅角緑内障は隅角が開いているものの、その先にある房水のフィルター機能が何らかの原因で詰まることで起こります。このタイプの緑内障は視神経へのダメージが比較的ゆっくりと進むため、視野欠損がかなり出てから気づくことが多いです。

日本人の7割以上がこの開放隅角緑内障ですが、実はその中にも種類があるのをご存じでしょうか*。これについてくわしく見ていきます。

*　Iwase A, et al. The prevalence of primary open-angle glaucoma in Japanese: the Tajimi Study. Ophthalmology 2004;111(9):1641-8. doi: 10.1016/j.ophtha.2004.03.029.