(写真はイメージです/PIXTA)

相続人のなかに認知症患者がいるというような場合、手続きはどうすればよいのでしょうか? 具体的な手続きの方法や必要書類、事前準備を相続に詳しいAuthense法律事務所の堅田勇気弁護士が解説します。

“利益相反”の場合は「特別代理人」を選任

もし、本人と成年後見人が、被相続人との関係で、いずれも相続人であった場合、双方が被相続人の財産を取り合う関係性になります。そのため、この場合、本人と成年後見人の利益が相反することになります。

 

したがって、後見人を監督する人が選任されていない場合に、遺産分割協議を行う場合には、別途「特別代理人」の選任申立てが必要になります。特別代理人を選任し、上記の利益相反の問題を解消する必要があるのです。

 

特別代理人選任申立ての主な必要書類

・申立書
・被後見人の戸籍謄本
・特別代理人候補者の戸籍謄本
・特別代理人候補者の住民票又は戸籍附票
・利益相反に関する資料(遺産分割協議書案など)

 

特別代理人についても、申立後、選任の審判が出るまでに2週間~2ヵ月程度かかることもありますので、余裕をもって申立て手続きをとるようにしましょう。

本人の権利を守る…「遺産分割協議」の注意点

成年後見人・特別代理人が選任される場合の遺産分割協議の注意点は、2つあります。

 

1.法定相続分を下回ってはならない

1つは、原則として成年後見人・特別代理人が選任された本人の相続分は、法定相続分を下回ってはならないということです。成年後見人や特別代理人は、本人の権利を守るために選任されます。

 

また、本人は、自己の意思を表示できない状況になりますので、本人の権利を不当に制約することは、原則として認められません。そのため、本人の相続分は、法定相続分を上回ることが求められます。

 

2.遺産分割協議成立までに時間がかかる

もう1つは、遺産分割協議が成立するまでに時間がかかるということです。

 

成年後見人や特別代理人は、申立ての準備をしてから選任されるまで1~3ヵ月かかることもあります。また、選任されてから、遺産分割協議をはじめますので、遺産分割協議の成立までにさらに1~2ヵ月かかることもあります。

 

相続税の納期期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヵ月以内となりますので、相続税がかかる場合に、納期期限までに遺産分割協議が成立しないということも生じる可能性があります。

 

もし相続人のなかに、判断能力が乏しい方がいる場合は、時間に余裕をもって、成年後見人の申立てを行うようにしましょう。

 

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