日本の「普通」は通用しない…〈海外企業との取引〉で注意すべき5つのポイント【弁護士が警告】

日本の「普通」は通用しない…〈海外企業との取引〉で注意すべき5つのポイント【弁護士が警告】
(写真はイメージです/PIXTA)

海外企業との国際取引では、契約書が特に重要となります。内容を理解しないままあいまいな契約をしてしまったり、相手に提示された契約書をそのまま受け入れてしまったりすると、思わぬトラブルに発展してしまうかもしれないと、企業法務に詳しいAuthense法律事務所の西尾公伸弁護士は警告します。海外企業との取引について、これだけは注意すべき5つのポイントをみていきましょう。

海外企業との契約締結時に取り決めるべき事項 

国際取引にあたって、契約書が特に重要であることは、ここまで解説してきたとおりです。

 

では、具体的にどのようなことを契約書で取り決めておくべきなのでしょうか?

 

契約の内容や条件

国際取引の際の契約書では、契約の内容や条件などを明確に記載しておきましょう。


記載すべき事項は状況によって異なりますが、たとえば次のような事項です。

 

・契約書作成に際して使用する言語はどれか
・なにをいくつ、いつまでに納品するのか
・不備や不足があった場合にはどうなるのか
・どのような方法(空輸や海運といった輸送方法など)で納品するのか
・納品の費用はどちらが負担するのか
・どの時点で代金が発生するのか
・修正や交換依頼には応じるのか
・支払時期はいつなのか
・支払は、円建てか、ドル建てか、それとも別の通貨か
・関税などの貿易に関する条件はどうするのか

 

こうした基本的な事項が明確になっていなければ、いざトラブルに発展した際に不利になってしまいかねません。何のための取引で、何に対して対価が発生するのかなど、必ず明確にしておきましょう。

 

基準とする国の法律

それぞれの国にはそれぞれの法律があり、いざトラブルが起きると、どちらの国の法律で解決すべきかが問題となる場合があります。トラブルの際にどちらの国の法律で解決すべきかなどについても相手方と協議をし、契約書に盛り込んでおきましょう。

 

また、仮に日本法を基準とすることが合意されたとしても、裁判については相手方の国の裁判所で行うという条項が契約書にあると、裁判のために海外の裁判所を使わなければならなくなり、コストが格段に増加する可能性もありますので、このような条項にも注意が必要です。


もっとも、日本の裁判所で判決を得たとしても、相手の国で強制執行などができない場合もありますので、事前に、相手の国の法律に詳しい弁護士に相談するのが望ましいといえます。

 

トラブルが起きた場合の対応方法

国内企業同士の取引の場合、契約書の末尾に「本契約の規定に関する疑義又はこれらの規定に定めのない事項については、甲乙誠意をもって協議の上、解決するものとする」などの一文を入れることが少なくありません。このような条項を、「誠実協議条項」といいます。

 

しかし、国際取引の場合には、この一文に頼ることは危険です。慣習や背景が異なる可能性の高い海外企業とのあいだで疑義やトラブルなどが生じた場合には、誠実な協議のみで解決することが困難となる可能性が高いためです。

 

そのため、このような一文に頼るのではなく、疑義やトラブルが生じないように、はじめから契約書をしっかり作り込んでおいた方がよいでしょう。

 

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※守秘義務の観点から、実際の相談内容と変えている部分があります。

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