(※写真はイメージです。/PIXTA)

「自分(や家族)はひょっとして認知症ではないか?」…真剣にそう自覚していくのは怖いものですが、認知症は早期発見、早期治療、そして早期の効果的な対応によって、その後の人生が良くも悪くもなる病気です。認知症研究の第一人者・浦上克哉氏が監修した『すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本』(徳間書店)より、早期発見のヒントとして、「老化によるもの忘れ」と「認知症によるもの忘れ」の違いを見ていきましょう。

「生活に支障をきたすか、否か」の分かれ目は?

前項で老化によるもの忘れ(健忘症)の特徴を紹介したように、ある程度の年齢になると、「最近、どうも忘れっぽくなった」と感じることが増えてきます。ただ、「今日は何曜日だっけ?」「昨日の昼は何を食べたかしら?」と迷うことがあったからといって、「すぐに病院に行かなくては」とは考えないでしょう。

 

そして、「近頃そんなことが増えてきた…」と感じても、それが「老化によるものなのか、それとも認知症によるものか」はなかなか分かりません。きっと多くの人は、「歳は取りたくないな…」と老化のせいにして片づけてしまいます。

 

健忘症と認知症の違いは、前述したように、「生活に支障が生じるようなもの忘れかどうか」という点で判断できます。

 

たとえば、「夕食に何を食べたのかを思い出せない」のは健忘症で、食べたものを思い出せないことは、生活に支障を与えるものではありません。それが認知症になると、「食事をしたこと自体を忘れて思い出せない」ことになり、大事な食生活に影響を与えてしまいます。

 

 

ほかにも、「買い物に出かけ、何を買うのかを忘れる」のは健忘症ですが、手間は生じるものの、確認して出直せば問題ないでしょう。けれども「買い物に出かけ、途中で外出した理由を忘れる」認知症の場合はそうはいかないのです。

 

また、もの忘れがあっても、自覚があり続ける場合は健忘症の範囲内かもしれません。けれども、最初はもの忘れを自覚していても、次第にもの忘れをしていること自体に気づけなくなり、話の中でつじつまを合わせようとすることが出てくると心配です。

 

健忘症か認知症かの区別がつかない場合は、最終的には医療機関を受診しなければなりませんが、まずは2つの違いを自分で認識しておくことが大切といえるでしょう。

 

浦上克也著『すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本』(徳間書店)より
[図表4]老化によるもの忘れと認知症によるもの忘れ 浦上克也著『すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本』(徳間書店)より

 

 

浦上 克哉

日本認知症予防学会 代表理事

鳥取大学医学部 教授

 

※本連載は、浦上克哉氏監修の『すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本 認知症を予防・克服する新習慣!』(徳間書店)より一部を抜粋し、再編集したものです。

すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本 認知症を予防・克服する新習慣!

すぐに忘れてしまう自分が怖くなったら読む本 認知症を予防・克服する新習慣!

浦上 克哉 監修

徳間書店

【認知症研究 第一人者、浦上克哉氏の最新メソッド!】 「ひょっとして認知症?」…あなたや家族が不安になったら読む本。 早期発見チェックリストで今の状態とやるべきことがよくわかる! 自分自身や家族の認知症が…

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