“黒崎”が来る…ライセンス取得後も「抜き打ち検査」
そして、この登録制度の難関は最初だけではありません。その後も抜き打ちで、いわゆる「金融庁検査」があります。
ドラマ「半沢直樹」に出てくる黒崎駿一検査官のような役割の方が本当に来るのです。証券会社の受付を通った検査官数人が整然と廊下を歩いてくる……そんなシーンが検査の始まりです。
受付からの内線電話で「いま、金融庁の検査官が投資信託部に向かわれました」と伝えられ、「えっ?」と思いドアの方を見るとドアのガラスに映った黒い影。
そして次の瞬間には、「金融庁です。全員手を止めて、そのまま。取引帳票を回収します。ロッカーを開けて」と命令口調で言いながら、部内に検査官が散らばってガサ入れ……と、筆者が証券会社に入った1990年ごろは池井戸潤さんのドラマよろしく、さながら犯罪捜査のような具合でした。
さすがにいまは、緊急を要しない検査の場合はアポイントをいただき、コンプライアンス担当を窓口に事務処理的な雰囲気にはなっていますが、それでも、検査内容の厳しさはそのままです。
取引帳票や業務フロー、議事録のすべてや社内メールも検査され、お客様の対応記録、電話録音まで提出することもあります。お客様対応から資産管理まで適切に運営されているか、長ければ数ヵ月にわたって社内に駐留しての検査が行われます。
事務処理ミスや事務フロー違反、事実に反する書き方をされた広告、お客様の資産を自社の資産と一緒くたに管理している、証拠となるメールを削除するなど検査を避ける行為……これらはすべて検査で見つかってしまいます。
そして、このような法令違反が見つかった場合には、その重大性によって行政処分が行われることになります。
軽ければ改善策の提出や業務改善命令が下されますが、重ければ数ヵ月にわたる業務停止や登録抹消となる場合もあります。下手すると経営の危機を招きますので、私たち金融機関はそうならないよう、日々努力しています。
黒崎検査官は悪役イメージで描かれ、たしかに金融機関側からすると怖い存在です。しかし、繰り返しますが、金融庁は投資家をしっかり守ることが使命なのであり、その監督に服することは金融機関自身の身を守ることにもつながっているのです。
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