「死亡退職金はだれのもの?」本妻・愛人ありの男性の急死で、意外過ぎる結末が判明【弁護士が解説】 (画像はイメージです/PIXTA)

妻子がありながら愛人と婚外子をもうけ、長年「もうひとつの家庭」で暮らしていた男性が急死しました。男性の勤務先からは死亡退職金が出ましたが、だれが受け取るかで紛糾。意外な結末となりました。高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

中小企業退職金共済による退職金の「独特のしくみ」

サラリーマンとして働いているときに亡くなって退職する際、死亡退職金が出る会社も少なくありません。

 

中小企業の場合、社員に退職金を支払うために、中小企業退職金共済に加入している場合も多いです。

 

ただし、この中小企業退職金共済による退職金は、通常の退職金とはちょっと異なることから注意が必要となります。

 

まず、通常の退職金は、相続上どう取り扱われるかと言うと「会社の規程による」こととなっています。

 

規定がない場合や、「亡くなった本人に退職金が支給される」と規定されている場合には、本人に支給されるもので、遺産として相続人に相続されることとなります。

 

これに対し、「遺族に支給する」「配偶者に支給する」などの規程があれば、退職金は遺産ではなく、遺族のものとなります。

 

中小企業退職金共済の退職金は、通常の退職金と異なり、受取人が共済の約款で定められており、配偶者が優先的に受け取れることとなっているようです。

 

したがって、退職金共済の退職金は配偶者のものであり、遺産として相続人が相続分に従って相続するということはありません。

 

そこで、退職金は、相続人である明子さんが2分の1、子どもである英雄君と雄太君が4分の1ずつ受け取れるとする選択肢①は誤りとなります。

 

次に、退職金共済の退職金は、配偶者が受取人として指定されているということです。そうだとすると、戸籍上の妻である明子さんが受け取れるように思えます。

 

しかし、最高裁判例は、退職金等の支給の根拠となる法令や規約の定めの内容を踏まえると、本件退職金等はいずれも遺族に対する社会保障給付等と同様に、遺族の生活保障を主な目的として受給権者が定められていると判断しました。

 

したがって、退職金共済における配偶者については、事実上離婚状態にある配偶者は該当せず、実際に一緒に生活している内縁関係にある女性が該当するとしています。

 

よって、退職金共済の規定では、配偶者が優先的に受け取ることとなっており、戸籍上の妻である明子さんが退職金を受け取れるとする選択肢②は誤りで、退職金共済の規定では、配偶者が優先的に受け取れることとなっているが、本件では同居している愛さんが配偶者として退職金を受け取れるとする選択肢③が正解となります。

 

法律上は、籍の入っている配偶者が相続権もありますし、優遇されるのが普通ですが、退職金共済の退職金では、籍の入っていない内縁の妻が優先することとなっています。

 

未収年金や公務員の退職金も、同様の規程になっているので、籍よりも同居や生活を一緒にしていることが重視されることから注意が必要です。

 

 

※プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

 

 

高島 秀行
高島総合法律事務所
代表弁護士

 

 

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    代表弁護士 

    1965年生まれ。慶応義塾大学法学部法律学科卒業、1994年弁護士登録。第一東京弁護士会所属。現在、高島総合法律事務所、代表弁護士。

    不動産会社、個人の資産家等の顧問を務めており、『相続・遺産分割する前に読む本―分けた後では遅すぎる!』、『訴えられたらどうする!!』、『企業のための民暴撃退マニュアル』(以上、税務経理協会)などの著作がある。

    「遺産相続・遺留分の解決マニュアル」をホームページに掲載している。

    著者紹介

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