老後資金2,000万円というが…夫婦で年金「月20万円」。年金だけで「平均給与レベルの生活」は維持できる?【税理士が解説】

老後資金2,000万円というが…夫婦で年金「月20万円」。年金だけで「平均給与レベルの生活」は維持できる?【税理士が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

「老後2,000万円問題」を聞いても、本当にそれほど不足するのか?と疑問に思う方は少なくないでしょう。いま現役で働き、平均給与で生活している夫婦の場合、老後資金は実際どれくらい必要になるのでしょうか? 年金だけでも「現役時代と変わらない暮らし」を続けられるのでしょうか。板山翔税理士が解説します。

老後破産リスクが高い人、そんなに心配いらない人の差

30年間で約3,000万円の不足額が大きいと見るか否かですが、厚生労働省の『平成30年就労条件総合調査』によると、約80%の企業に退職金制度があり、退職金の平均額は下記のとおりです。

 

<退職金の平均額> 

●大学卒・大学院卒:1,983万円

●高校卒(管理・事務・技術職):1,618万円

●高校卒(現業職):1,159万円

 ※勤続20年以上かつ45歳以上の退職者

 

また、一世帯あたりの純金融資産(貯蓄-負債)の平均額が823万円(総務省統計局『2019年全国家計構造調査』より)あることも考えると、平均的な退職金と貯蓄があればある程度は補えそうです。

 

子どもが巣立てば生活費もおのずと下がるでしょうし、老後破産に過度におびえる必要はありません。ただし、次のようなケースでは老後破産のリスクが高まってしまいますので、あてはまる場合は事前に対策を考えておく必要があります。

 

<老後破産リスクが高まる5つのケース>

1. 現役時代の収入が高く生活水準も高い

2. 住宅ローンなどの借入返済が現役時代に終わらない

3. 退職金制度がない、または転職などで支給額が少ない

4. 個人事業主などで年金の受給額が少ない

5. 貯金や積立投資をしていない

老後資金を貯めるには?今からできる2つの対策

老後資金も貯めておかないと…と頭ではわかっていても、遠い将来のためにコツコツお金を貯めておくことって案外難しいですよね。実際、できる人は少数派だと思います。

 

そんな人でも少しでもお金が貯められるように、今からできる対策を2つだけご紹介します。

 

【今からできる対策①年金や退職金の金額を調べておく】

ご自身が将来もらえる年金や退職金の金額って調べたことありますか? そもそもまったく調べたことがない人も多いと思いますが、いくら貯めればよいのかわからないと、お金を貯める意欲なんて湧かないですよね。

 

年金は「ねんきんネット」で調べるのが最も正確ですが、厚生労働省や銀行などのシミュレーションサイトでも簡易計算できます。「年金 シミュレーション」で検索してみてください。

 

退職金は会社の退職金規定などをご確認ください。

 

【今からできる対策②生活水準を上げない工夫をする】

収入が高くて生活水準も高い人ほど、年金生活になったときの収入の落差が大きくなり、老後破産のリスクが高くなってしまいます。

 

かといって、手元にお金があるのに禁欲してお金を貯め続けるのは至難の業です。

 

知らず知らずのうちに、良い服を買うようになったり、良いものを食べるようになったり、良い家に住むようになったりなどすると、生活水準が上がってしまいます。

 

そこで、毎月一定の金額を貯金用の口座に移してしまうとか、iDeCoや積立投資に回してしまうとかして、強制的に手元のお金を減らしてしまって、残りのお金で生活せざるを得ない状況を作り出す工夫をしましょう。

 

私も職業柄、数字に強いほうですが、それでもいつの間にか使いすぎてしまっていることもあるので、わざわざ貯金用の口座にお金を移しています。

 

ちなみに私が使っている住信SBIネット銀行の口座なら、毎月一定金額が自動で他の口座から入金されるような設定ができますので、こういった機能も活用してみてください。

次ページまとめ:「平均いくら?」を知るより大切なこと

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