(※写真はイメージです/PIXTA)

「まだ大丈夫と思いたい。でも、知っておけば準備できる。」高齢者認知症外来・訪問診療を長年行ってきた専門医・近藤靖子氏は、書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』のなかで「認知症患者のご近所トラブル」について解説しています。

「料理や家事」「買い物」ができない…具体的な症状

日常生活動作を指す言葉には、介護の分野で使われている用語として、ADLとIADLがあります。

 

ADLとは、Activity of Daily Livingの略で、基本的日常動作と訳され、食事、更衣、整容、排泄、入浴などを指します。

 

IADLとは、Instrumental ADLの略で、手段的日常生活動作と訳され、ADLよりも複雑な動作である、買い物や洗濯などの家事全般、金銭管理、服薬管理、交通機関を使っての移動などが含まれます。

 

認知症が始まると、まずIADLがうまくできなくなり、さらに認知症状が進行してくるとADLにも障害が出てきます。IADLに障害が出てきた時点で、近所や地域の方が気づき、適切な報告や対処をすることが重要だと思われます。

 

IADLの障害とは、具体的にはどんなことでしょうか?

 

例えば、今までできていた料理や家事がきちんとできなくなり、料理の味付けがおかしくなったり、調理器具がうまく使えなかったりします。鍋を焦がしたり、食材を冷蔵庫に入れっぱなしで腐らせたりします。また、日付けを覚えるのが苦手になり、予定した外出がその通りにできなくなります。

 

従って、病院に通院するのをやめたり、薬をきちんと飲めなくなったりします。買い物では、同じ物を何度も買ったり、逆に支払いをせずに商品を持っていこうとする場合などがあります。

 

このようにいろいろな障害が出てくるわけですが、案外本人は困っていないことが多いようです。普通にご飯を食べて、きちんと薬も飲んで生活していると思い込んでいることが怏々としてあります。

 

さらに認知症状が中等度に進行すると、物盗られ妄想や幻覚、作話などが出てきます。物盗られ妄想は、お金や物を失くしても(実際は置き忘れが多いのですが)、「誰かが盗っていった」「泥棒が来た」などと思い込むことです。そのわりには深刻さがないことも特徴的です。

 

しゃべるのが好きな高齢者の場合には、近所の人に、「ごはんを食べていない」「死にたい」などと言って回る人もいます。

次ページ身近にいる高齢者に「これらの言動」を見かけたら…

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    本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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