【広報の営業戦略】テレビに受けるネタ提案。大事なのは「つかみ」、「臨場感」 (※写真はイメージです/PIXTA)

商品やサービスを一般消費者に向けて提供する「B to C(Business to Consumer)」企業と異なり、法人に向けて事業を行う「B to B(Business to Business)」企業は、マスコミへの営業が有利ではありません。日本経済新聞の記者から「B to B」企業広報に転身した日高広太郎氏の著書『BtoB広報 最強の攻略術』(すばる舎)で効果的な戦略を解説します。

「テレビへの広報営業なんて無理」という人におすすめの二つの方法

BtoBや中小企業の広報担当者の中には、テレビについての項を読んで、「新聞や雑誌はともかく、うちの会社や自分の能力ではとてもテレビ出演は無理だな」と失望される方もいらっしゃるかもしれません。私自身も広報担当になった当初は「テレビは当面、難しいだろう」と思っていましたから、そんな方々の気持ちは本当によくわかります。もともとメディア露出が少ない企業の広報担当者が悲観的になるのは、ある意味で当たり前だと思います。

 

そのような方々には、二つの方法をおすすめしたいと思います。一つは、テレビCMを活用する方法です。CMを制作し、テレビ局の枠を買うと、番組で会社を取り上げてくれるサービスです。

 

テレビ局は主にCMの広告収入で成り立っています。たくさんテレビCMを出してくれる企業へのサービスの一つに「パブリシティ」(パブ)と呼ばれるものがあります。例えば、○○○万円以上のCMを出稿すると、別枠(電波枠)をサービスしてくれる、というものです。どんな形式でパブを実施するかはテレビ局が決めますから、企業側が厳密に指定できるわけではありませんが、検討する価値はあると思います。

 

この方法の長所は、広報担当者などのスキルが低くても、お金さえ出せば質はともかくCMを出稿したり、パブを作ってもらったりすることが可能なことです。

 

もちろん、この方法には欠点もあります。CMを制作、出稿するにはかなりの資金が必要だからです。簡単なCMであれば数百万円で制作できることもありますが、テレビの広告枠を購入する必要もありますから、本格的にCMを展開する場合には億円単位の予算がかかるケースもあります。中小企業の広報担当者がそんな金額の予算を広告に使う相談を経理担当にしたとしても、「そんなお金はないよ」と言われるのがオチでしょう。

 

私自身も広報担当を頼まれた際、ほとんど広告予算はありませんでした。このため、私の場合はまったくお金を使わずに、地道にテレビ以外の報道を増やす努力をすることになりましたし、テレビCMなど夢のまた夢でした。

 

多くの広報担当者も、当時の私と同じような状況にあると思います。しかし考え方を変えれば、テレビCMや広告に頼るよりも、お金を使わずに報道を増やすことができるようになったほうが、広報担当者としての能力や人間としての価値は高まります。

 

莫大なお金を使ってCMを大量に出しているだけでは、それに安住してしまいがちです。広報担当として努力をしなければ、スキルはなかなか高まらないのではないかと思います。広告宣伝費の少ない広報担当者は、発想を転換して「自分のスキル向上につながる」と考えてみてはいかがでしょうか。

 

もう一つの方法も紹介しましょう。それは、「テレビ以外のメディアにたくさん記事を掲載してもらうこと」です。これは私が使った方法でもあります。私がここで強調したいのは「メディアは連鎖する」ということです。

 

私の体験から言っても、記者たちは他社も含めて記者同士で情報交換をしたり、インターネットや日経テレコンのような情報サービスで他社の記事をチェックしたりして、常に公開情報を取るよう努力し、それらを企画に役立てています。テレビの記者やプロデューサーにとっては、番組で使うのは必ずしも特ダネでなくても良く、面白いネタであれば良いわけですから、新聞などほかのメディアに掲載された情報でも「これは自分の企画の趣旨にかなっている」と思えば、積極的に取材してくれます。

 

ただし、ほかのメディアに記事を掲載する場合も、テレビでも使えそうなネタを掲載してもらうという努力は必要でしょう。予算が少ないBtoBの中小企業の広報担当の皆さんには「テレビに取り上げてもらいたければ、テレビだけにこだわるな」というアドバイスとエールを送りたいと思います。

影響力高まるネットのニュースサイトへの対処法

最近、注目されているのがインターネットのニュースサイトです。当初は既存の大手メディアが運営しているものが主でしたが、最近は独立系のメディアが急激に増えています。一部には非常に大きな影響力を持つニュースサイトも出てきています。私はこうしたニュースサイトは、今後も成長する重要なメディアだと考えており、多くの記者の方と常時連絡を取り合い、記事を掲載していただいています。

 

ネットメディアの場合、『マスコミ電話帳』のような書籍に連絡先が記載されていないことも多く、どうやってコンタクトを取ればいいかがわからないことも多いでしょう。これについては、私も困った経験があります。このため、ニュースサイトの運営会社に連絡をして取り次いでいただくことが多くありました。ある程度の掲載実績ができると、ほかのメディアで掲載された記事を読んで、取材したいと言ってもらえることも増えましたが、当初はほかのメディアと同様、なかなか連絡が取れずに苦労した時期がありました。

 

インターネットのニュースサイト向けのネタづくりは、基本的には既存メディアと同じです。ただ、それぞれのサイトに特徴があり、取り上げられやすいテーマがあります。IT関連に強いサイトもあるでしょうし、会計関係に強いサイトもあるでしょう。広報担当者は、それぞれのサイトの特徴に合わせたネタを作る、あるいは自社に合ったサイトを探す努力が必要です。掲載してもらいたいサイトを探し、サイト内の記事を分析してからネタを作っていく必要があります。

 

インターネットのニュースサイトでは、ビジュアルにも気を使う必要があります。記事ネタのほか、写真やグラフ、図表、イラストなどの仕掛けがあると記事も目立ちやすいため、その分読まれる可能性が出てきます。もちろん、読まれやすい(バズりやすい)用語やテーマを研究して記事ネタにすることも有効です。

 

ただ、企業の広報担当者としては、それに固執してしまって、本来、「自社が発信したい情報が出せない」、「自社が誤解を受ける」といった状況になるのは本末転倒です。ネットの記事はSNSなどで拡散しやすく、誤った情報が出ると、企業イメージが大きく損なわれることをよく理解して対応するようにしましょう。

 

ネットの記事の中には、一見報道のようですが、実質的には広告記事というケースも多くあります。私も時々、ニュースサイトの記者の方から「会社の取材をしたい」という連絡を受けますが、よく話を聞いてみると、一部は「取材は無料だが、広告を出してほしい」「報道なので無料だが、その代わりに仕事の契約をしてほしい」といったケースがあります。実際に広告を出したい場合は、それでも良いかもしれませんが、私はこうしたケースで取材をしていただいたことはありません。

 

こうした実質的な広告記事を執筆してくれるニュースサイトについては、自社の広報戦略がそれに合致しているかどうか、サイト自体が信頼できるのか、精査した上で取材を受けることをおすすめします。

 

日高広太郎

広報コンサルティング会社 代表

 

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    広報コンサルティング会社 代表 

    1996年慶大卒、日本経済新聞社に入社。東京社会部に配属される。ドラッグストアなど小売店担当、ニューヨーク留学(米経済調査機関のコンファレンス・ボードの研究員)を経て東京経済部に配属。財務省、経済産業省、国土交通省、日銀、メガバンクなどを長く担当する。日銀の量的緩和解除に向けた動きや企業のM&A関連など多くの特ダネをスクープした。東日本大震災の際には復興を担う国土交通省、復興庁のキャップを務めた。シンガポール駐在を経て東京本社でデスク。2018年8月に東証一部上場企業に入社し、広報部長、執行役員等を務める。現在は独立し、広報コンサルティング会社の代表を務める。

    著者紹介

    連載メディアに注目されにくい「BtoB企業」のメディア露出を、劇的に増やす方法

    BtoB広報 最強の攻略術

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    日高 広太郎

    すばる舎

    日本経済新聞社のエース記者として活躍し、東証一部上場の「BtoB企業」の広報担当役員に転身、年間のメディア掲載数を就任前の80倍以上に増やした広報のプロフェッショナルである著者。現在は独立し、広報コンサルティング会社…

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