モンゴル、屋台料理のキッチンカー

モンゴルの視点から見た国際ニュース、また同国社会の政治的・経済的ニュースを取り扱う現地モンゴル・ウランバートルのメディア『The UB Post』より翻訳・編集してお伝えする。

壁は「屋台における高い衛生観念」の必要性

上述の通り、屋台販売は重要だが、無視できない多くの根本的な問題がある。今ある屋台の多くは、調理や販売に適した環境ではない。売り場や調理場などが清潔でなく、照明も不十分、汚染源に対しても脆弱だ。

 

屋台料理販売者のほとんどは、食べ物や水における衛生管理を実践していない。何にも覆われていないむき出しの食品は、ハエや鳥、ネズミなどにさらされ、食品を媒介とする病原菌を発生させる危険性がある。また屋台で働く従業員たちは、食品の取り扱いや廃棄物の処理に関する適切なトレーニングを受けていない。

 

そのため、地元の人々の中には屋台料理を煙たがる人も多い。しかし、それでも屋台の数は増え続けている。例えば、国営百貨店の近く、国立庭園公園、国立サーカス、モンゴル国立教育大学、120ミャンガット小区、サマーキャンプの道沿いなどにはさまざまな屋台がある。休日には、レストランや食堂が路上でクーシュルや惣菜を販売していることもある。

 

これは、2022年1月1日に施行されたウランバートル市長の政令A/987号により、市民や企業が市内で指定された74種類の事業活動を行う場合、いかなる許可や特別な免許の取得も不要になったからである。つまり、ウランバートルで74種類の貿易・サービス活動を行うために、市民は何の書類も必要としない。以前は、貿易・生産・サービス業を営む市民や事業体は、営業許可・免許を取得するために7〜12種類の書類を提出する必要があった。

 

これが改定され、書類が不要となった。政府機関が発行する書類は、市民や事業体が参加しなくても、政府機関同士の情報交換や支援、助言、その他協力によって処理されることとなる。

 

これは事業者の負担を減らし支援するための政令だったが、市民からは「政府の決定だからといって、食品の提供における強化を弱めてはならない」という声が上がっている。

 

B.Javkhlan財務大臣は、「政府が国家検査を縮小する政策を引き続き進めていく」と伝えた。特に、検査の回数は50%削減される予定だ。

 

今年春の会期中に、国会は特定の種類の国家監督・検査の停止に関する法案を可決した。この法律により、定期検査は3年間実施されない。予定外の検査については、市民、事業体、組織からの請願、要請、苦情、情報に基づいて、あるいは権限のある機関の決定があった場合に実施されると定めている。また、法律により、該当の組織は食品の品質と基準を維持する義務を保有する。損害や事故が発生した場合には、組織は責任を負うことになるとのこと。

 

Kh.Nyambaatar法務・総務大臣は、「国の検査は、市民の声をもとに実施されることになる。しかし、リスクヘッジにおける監視システムについては改善する必要がある。定期検査の停止により、組織の品質や基準が弱まることが懸念される」と述べた。

 

世界的に「食の安全は最重要」と考えられている昨今、屋台だけでなく他の食品生産者にも厳しい基準が設けられることは、この分野の発展にとって一歩前進であると専門家や研究者たちは言う。政令により屋台の売買や営業を容易にし、彼らに圧力をかけないような判断をすることは正しいが、政府は一定の管理、検査、勧告措置を怠ってはいけないというのが専門家たちの見解だ。

 

これに関連して、昨年6月、ウランバートル市のD.Sumiyabazar市長は、市内でビジネスを行う上で有利な環境を整えるための条例を発布した。この条例では、首都の公道や広場で、食品の安全性や衛生基準、要件を満たす食品取引やサービスに従事する市民、団体、組織を支援するよう、市のあらゆるレベルの組織や職員に義務付けている。

 

市長は、「新型コロナウイルス感染拡大後の経済を立て直すためには、良好なビジネス環境を作る必要がある。企業は国の経済に貢献し、雇用を生み出します。したがって、特に衛生と品質の要件を満たす製品とサービスを提供する事業者・企業に対しては、あらゆる面でサポートします」と述べた。

 

市長はまた、条例の枠組みの中で屋台の販売者とも対面し、直接話をした。対話の中で事業者は、「屋台料理を提供できる公共の場所が不明確である」という問題を強調した。また、良好な法的環境を整え必要なサポートを提供することが、屋台ビジネスを支える重要な要件であることも強調された。

 

ウランバートル基準検査局は、屋台料理の現場での基準について、共同受諾していくことを事業者に提案した。この提案をする上で市当局は、「どのような安全対策を講じるべきか、屋台がどこでサービスを提供できるのか」を明確にした。

次ページ農村地域で発展しつつある屋台事業

この記事は、GGOが提携するモンゴル・ウランバートルのメディア『The UB Post』が2022年8月3日に掲載した記事「When will street food vending develop locally?」を翻訳・編集したものです。

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