コロナ感染は心不全の発症・急激な悪化を招く要因。「心不全」と「感染症」の関係【専門医が解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

日本人の死因第2位を占めるのは「心疾患」ですが、中でも特に死亡率が高いのが「心不全」です。心不全は一度発症すると完治しないため、発症させないことが第一ですが、もし発症してしまった場合には、再発・増悪を予防する取り組みが欠かせません。本稿では「感染症対策」の重要性を見ていきましょう。“心疾患・心臓リハビリ”の専門医・大堀克己医師が解説します。

コロナ感染が心不全の発症につながったケースも…

また、気を付けてほしいのが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)です。新型コロナウイルス感染症も、風邪やインフルエンザなどと同じように心臓の仕事量を増やしたり、炎症性サイトカインを増加させたりすることにより、心不全の急性増悪を招く誘因になります。

 

それだけでなく、新型コロナウイルスは鼻やのど、肺で増殖するだけでなく、心臓の筋肉の細胞にも直接感染することが報じられています。その一例として、心臓の疾患がなかった人が新型コロナウイルスに感染して「急性心筋炎」を起こし、心不全になったという報告もあります。

 

新型コロナウイルス感染症で重症化して入院し、退院から数ヵ月経過したあとでも、まだ心臓にダメージが残っている人も少なくありません。欧州心臓病学会の医学誌ヨーロピアン・ハート・ジャーナルに掲載された論文によれば、ロンドン周辺の6ヵ所の病院で治療を受けた感染者148人を6ヵ月にわたって追跡調査したところ、退院後1~2ヵ月が経過した感染者に、心筋の炎症や心臓組織の壊死または損傷、心臓への血液供給量の減少などが高い確率で見られたということです。これは新型コロナウイルスが重症化したことで、本来なら心筋が損傷を受けたときに血中に放出されるタンパク質「トロポニン」のレベルが上昇し、それによって心筋や心臓がダメージを受けていると考えられます。

 

新型コロナウイルスワクチンの接種については、副反応として心筋炎や心膜炎を発症するリスクは現時点では低いと考えてよいと思います。最新の資料ではmRNAワクチンによる心筋炎の発症率は0.00213%(10万人に2.13人)という報告もあります(New England Journal of Medicine 2021:385:2132-2139,Witberg G et al.)。

 

心筋炎や心膜炎を引き起こす原因にはさまざまあり、ウイルスによる感染や、薬物・毒物による中毒性、膠原(こうげん)病などの全身疾患によるものなどがありますが、最も多いのがウイルス感染によって起こるウイルス性心筋炎です。心筋炎は文字通り心臓の筋肉細胞などに炎症が起きる病気で、重度になると、心不全や重度の不整脈を起こすこともあります。

 

2021年7月21日、日本循環器学会は、「新型コロナウイルスワクチン接種による利益は、ワクチン接種後の急性心筋炎と心膜炎の危険性を大幅に上回る」としながらも、「新型コロナワクチン接種後に、動悸・息切れ・胸痛等の症状が出現した場合は、速やかに医療機関を受診することを勧める」と声明を出しています。

 

 

大堀 克己

社会医療法人北海道循環器病院 理事長

 

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    社会医療法人北海道循環器病院 理事長 日本胸部外科学会指導医
    日本外科学会認定医
    日本医師会認定産業医

    1968年、札幌医科大学胸部外科(現心臓血管外科)に所属して以来、今日まで一貫して心臓血管系と呼吸器の疾患に対する外科療法に携わり、現在はドイツのハンブルク心臓リハビリテーション協会と連携しつつ虚血性心疾患に対する心臓リハビリテーションに取り組んでいる。

    著者紹介

    連載心不全に負けない完全治療マニュアル

    ※本記事は、大堀克己氏の著書『心不全と診断されたら最初に読む本』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

    心不全と診断されたら最初に読む本

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    大堀 克己

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