子離れできない親が悪いのか、自立できない子どもが悪いのか

【特別対談】石田淳・行動科学マネジメント研究所所長(後編)

子離れできない親が悪いのか、自立できない子どもが悪いのか
(※写真はイメージです/PIXTA)

欧米では18歳になったら自立させることが一般的です。日本でも年齢を決めて、親は何歳までは関わって何歳からは自立させると一線を引いたほうがいいのではないでしょうか。歯科医師の成田信一氏が行動科学マネジメント研究所所長の石田淳氏と特別対談で語ります。

夫婦で子どもをどう育てたいか話し合う

■親のあり方、子離れについて

 

成田 私のクリニックでは、第一次矯正の一つとして、舌のトレーニングを行ってもらいます。その際に、トレーニングが続くように行動科学を取り入れています。石田さんから「舌のトレーニングのような『積み重ねることで成果につながること』は行動科学が得意とする分野だから、患者さんが楽しめるように何かプログラムをするといい」と教えてもらったことが導入のきっかけでした。

 

クリニックのスタッフがカードをつくって、トレーニングができた日には親御さんが〇をつけて行動を評価してあげる。ただそれだけのことですが、それがあるから継続できる子もいます。なくてもやるのではないかと思ってやめてみたら、パタッとみんなやらなくなってしまったので、効果を実感しました。

 

石田 特に子どもは素直にやりますからね。大人はだいたい最初に理由から入って、何でこんなことしなきゃいけないのとか、今日は仕事で無理とかできない言い訳を探してしまいますけど。でもこの行動科学の方法を取り入れれば、勉強でもスポーツでも整理整頓でも、何でも続けられるようになりますよ。

 

成田 私自身も石田さんの影響でランニングするようになって、一緒に南極を走るまでになりました。一緒にランニングをするようになった息子は、今では私よりもずっと速いタイムになっています。これも行動科学のスモールステップ(小さな目標設定)を行うことで、トレーニングを続けられるようになったおかげですね。

 

石田 子どもたちの場合は、小さな目標を達成できるたびにお母さんや先生から評価してもらうことがモチベーションになるわけですが、ある程度続けたら親側が徐々に回数を減らしていって、3カ月くらいでやめてみるといいんですね。その頃には習慣づいていますし、習慣づけばやらないと気持ちが悪くなるので、勝手に自分でやり始めます。できるようになったら別に毎回褒める必要もなく、たまに褒めてあげれば十分です。

 

成田 わが家では私も妻も、子どもにいろいろなことをやらせたいという傾向が強いのですが、同時に私は子どもの自立も大事だと思っています。海外で寮生活を送れば、何かと世話をしてしまいがちな母親も我慢せざるを得ませんし、子どもに一人で生活させて気づきを与えたかったことも大きかった。たとえば朝脱いだ靴下が、帰ってきた時にもそのままそこにあるということ。自宅なら、母親が脱ぎ捨てた靴下を拾って洗濯してクローゼットに入れておいてくれている。それがどれだけありがたいことかもわかります。

 

石田 夫婦でどんな子どもに育てたいか、どう育てていくかを話し合うことは大事です。よく、夫婦でどちらかが叱ったらどちらかがフォローに回るというような役割分担が必要という話がありますが、一番大事なのは、夫婦で話し合っておくことだと思います。お互いどう考えているのかをすり合わせしておかないと、役割分担のような細かいことをやったとしても息が合いません。子育てにも子育て方針にも正解はありませんから、家庭ごとのすり合わせが重要です。

 

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※本連載は成田信一氏の著書『自分で考え、やり抜く子の育て方』(プレジデント社)の一部を抜粋し、再編集したものです。

自分で考え、やり抜く子の育て方

自分で考え、やり抜く子の育て方

成田 信一

プレジデント社

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