(※写真はイメージです/PIXTA)

株式投資は、非常に奥深く面白いものです。株の価格予測については、優秀な頭脳が集計や分析を重ね、いくつもの方法論を打ち立ててきましたが、一方で、多くの人が評価・敬遠すれば、あっという間に株価は上昇・下落するという現実があります。この興味深いしくみについて、スリル満点の投機的な投資がやめられない、経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

株価暴落を恐れ、金融引き締めが遅れる可能性も

黒田緩和で株価が上がったことから、投資家たちは金融緩和が株高要因であるという信念を深めたはずです。日本だけではなく、世界中の投資家が金融緩和は株高要因であると信じていて、それが故に金融が緩和されるたびに株価が上がり、投資家たちの信念が一層強固になっていく、といったことが繰り返されているわけです。

 

そうなると、中央銀行は金融引き締めが怖くなります。引き締めが株価を暴落させる可能性があるからです。インフレ懸念が出てきて、本来であれば金融を引き締めるべきタイミングになっているのに、株価が暴落するのが怖いので引き締めを先延ばしにする誘惑に駆られるかも知れません。

 

株価が暴落すれば、総裁の評判も暴落し、再任される可能性も消えてしまうでしょう。それは避けたいわけですね。しかし、金融引き締めを先延ばししている間に本当にインフレになって、厳しい引き締めが必要となってしまえば、その時こそ大暴落の可能性が高まるわけですから、判断の難しいところです。

 

インフレを抑制するために金融を引き締める必要があるか否かを判断する事は、それほど難しいことではありません。どの程度景気が過熱すればどの程度インフレのリスクが高まるのかは、ある程度見当がつくからです。そのために中央銀行は優秀な景気予想屋を大勢雇っているわけですし。

 

それと比べると、引き締めが株価暴落を招くか否かは遥かに予想が困難です。投資家たちがどう考えるかを予想しなければならないからです。特に、今次局面のように金融緩和が続くことを前提として投資家が株を買い上がっているような場合には、怖いでしょうね。

 

中央銀行の総裁のストレスは、景気予想屋が想像もつかないほど大きなものなのかも知れませんね。

 

日銀が金融緩和を続けている間に、欧米の中央銀行は金利を引き上げました。これは、難しい判断だったと思います。結果として株価が暴落することなく、秩序ある下落に留まったことで、ホッとしているでしょうね。それで、日銀はどうするのでしょうか。要注目ですね。

 

本稿は以上ですが、投資は自己責任でお願いします。なお、本稿は筆者の個人的見解であり、筆者の所属する組織等々の見解ではありません。また、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

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塚崎 公義
経済評論家

 

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