「公的年金だけでは、老後生活を送るのに不十分」…政府も国民も、この事実を痛いほど理解しています。国民の多くが血眼になって老後資産の形成に励む一方、それでもなお「貯蓄ゼロ」状態から抜け出せない人々がいるのも事実です。数字から実情を読んでいきましょう。

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    定年前、必死の形相で資産形成に励む人々

    『令和3年 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]』(金融広報中央委員会)によると、将来を見据えた預貯金含めた資産である金融資産を「持っている」と回答した人は78.0%。年齢別では、年金生活がスタートし始めた60代では80%だ。

     

    保有額は、50代から60代の平均値は1,200万円、中央値は600万円と、資産を増やしていることが見て取れる。年金生活の開始前の「最後の貯めどき」にラストスパートをかけているのだ。

     

    【年代別「金融資産」保有率】

    20代:62.9%

    30代:77.3%

    40代:75.2%

    50代:76.8%

    60代:81.0%

    70代:81.7%

     

    【年代別「金融資産」保有額】

    ※数値左:平均値、左:中央値

    20代:344万円/201万円

    30代:986万円/400万円

    40代:1,235万円/531万円

    50代:1,825万円/800万円

    60代:3,014万円/1,400万円

    70代:2,720万円/1,500万円

     

    出所:金融広報中央委員会『令和3年 家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]』より

     

    しかし、この数字を見るためには注意すべきことがある。これは「将来を見据えた預貯金を含めた資産がある」と答えた人たちのものなのだ。

    「日々の生活に精一杯、老後資金など貯められない…」

    同調査によると、備えている預貯金もなく、まさしく「貯蓄ゼロ」の人は2.5%、40人に1人という結果だった。

     

    資産形成する最後のチャンスとなる50代でも、4人に1人は「余裕がない」という状況であり、そのなかには貯蓄ゼロで「その日暮らし」状態の人もいるということだ。

     

    前出の総務省『家計調査』(2021年)によると、高齢者無職の夫婦の家計は、毎月1万8,524円の赤字であり、不足分を貯蓄から取り崩して生活している。貯蓄がゼロなら、不足分である約2万円をどこかで切り詰めなければならない。

     

    実生活では物価高が続く。そんな苦しい生活を送っている高齢者は確実に増えているのだ。いよいよ立ち行かなくなれば、後の選択肢は「生活保護」しかない。

     

    いかにして「貯蓄ゼロ」から脱却するか。現役世代の課題はそこにあるのかもしれない。

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