(※写真はイメージです/PIXTA)

部下は、自信をなくしていることが多いものです。上司から存在を承認されることによって、部下は「上司が気にかけてくれている」「信頼、評価されている」と感じ、自ら考え動くためのモチベーションを手に入れることができます。エグゼクティブコーチの大平信孝氏が著書『部下は動かすな。』(すばる舎)で解説します。

「目的論的アプローチ」で未来思考に

■「成果を出せる部下」に成長するアドラー式メソッド

 

部下が動けないでいたり、成果が出ないのには、当然、原因があります。

 

「経験が少ない」「時間が足りない」「予算が足りない」「失敗したときのリスクが大きすぎる」「先輩の指示や教え方が下手」「同僚との人間関係がうまくいっていない」「上司との相性が悪い」「疲れている」「社会情勢がよくない」「社会のトレンドから離れたことをやっている」……など、原因は無数に挙げることができるでしょう。

 

では、いったいどうすれば、部下は成果を出せる人になれるのでしょうか?

 

ここでは、アドラー心理学を使ったメソッドをご紹介します。

 

アドラー心理学は、フロイト、ユングと並び「心理学の三巨頭」と称されるアルフレッド・アドラー博士が創始しました。

 

最大の特徴は、「原因論=なぜダメなのか? どこがダメなのか?」ではなく、「目的論=どうしたいのか? 何を得たいのか?」を考え、実行するところにあります。

 

私たちのほとんどがやっている「原因論的アプローチ」は、うまくいかない原因を見つけ、取り除くか改善することで解決を図ります。

 

確かに、仕事でも日常生活でも原因論的アプローチが役に立つ場面は数多くあります。ですが、すぐ行動できない原因が特定できれば、あらゆる問題が解決できるわけではありません。

 

なぜなら、過去に起こったことは自分ひとりでは変えられないこともあるからです。一方、「目的論的アプローチ」では、原因の違いに関係なく行動できるように「目的」にフォーカスします。

 

目的が明確になれば、私たちは自ずと動き出します。また、目的が明確になれば、そこに至るプロセスがひとつに限らないことにも気づくことができます。

 

「原因追求アプローチ」はしない

 

うまくいかないときに、部下や自分自身に対して、次の言葉を使っていませんか?

 

「どうしてダメだったの?」
「なぜ、うまくいかなかったの?」
「なんでこんなことしたの?」
「誰がやったの?」

 

これらは、行動できない人や、うまくいかないリーダーが共通して使う言葉です。これこそ原因論的アプローチです。

 

この質問を使うと、相手の思考は「過去」に行きます。「原因追求」はできるかもしれませんが、「問題解決」には至りません。

 

なぜなら、複数の複雑にからんでいる原因すべてを特定することは困難であり、もし仮に特定できたとしても、ひとりでその原因すべてを解決するのは難しいでしょう。すべて一つひとつを改善できたとして、それが成果になるかは疑問です。

 

また改善をした結果、別の問題が浮上する可能性もあります。

 

逆に、

 

「どうしたら、できるのか?」
「どのように工夫したら、打開できる?」

 

といった「目的論的アプローチ」の質問をすると、思考は「未来」に行きます。

 

どんな状況にあったとしても、未来を思い描き、その実現や問題解決のためにアイデアや解決策を考えることができるので、すぐ動けるようになります。

 

部下と話をするときは、「どうしてできないのか?」と原因追求するのではなく、「どうしたらできるようになるか?」と、目的論的に一緒に作戦会議をしてみてください。

 

以前、研修の参加者から、こんな質問を受けました。

 

「会社のルールとして、ミスが起きたら、原因を見つけて報告しないといけません。原因よりも解決策に着目するようにしていますが、どうしても部下を責めているような気持ちになってしまいます。どうしたらいいでしょうか?」

 

実は、「なぜ」にも2種類あると私は考えています。

 

ひとつは、「責任追及」のための「なぜ」。つまり原因論的アプローチです。

 

もうひとつは、「改善」のための「なぜ」 です。

 

私は、後者をオススメしています。

 

問いかける側の目的や意図によって、「ミスを責める」尋問にもなれば、「どうしたらよくなるか」考える作戦会議にもなります。「責任追及」のためではなく、「改善」のために、「なぜ」を使うことを意識してみるといいでしょう。
 

大平信孝
株式会社アンカリング・イノベーション代表取締役

 


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