「相続」を「争族」にしないために―。相続トラブルは、家族信託と遺言を使って一気に決着をつけられます。本連載は、司法書士・池田千恵氏の著書、『実際にあった相続トラブル40例!解決策大全』(ビジネス社)の中から一部を抜粋し、家族の間で起こる相続トラブルの対処法を紹介します。

子世代の方へ

親の遺言

 

親が自分の財産をどうしたいと思っているのか、聞き出して遺言にしてもらいましょう。子ども同士で話し合うと、「それが当然だ」とか「これが平等だ」とかいう基準が人によって違っていて揉めることが多いです。そのため親に生前に対策をしてもらうのがベストです。

 

相続とは、親の大切な財産を引き継ぐことです。親が苦労して築いてきた財産には、親の愛と想いが詰まっています。親の想いを尊重し、受け継いでいきましょう。

 

遺言がなければ、法定相続人がみんなで受け継ぐ親の財産を、具体的に分けるための遺産分割協議をすることになります。遺産分割協議は財産の取り合いをする場所ではありません。財産をうまく引き継いでいくための話し合いです。権利を主張し合う場所ではありません。

 

子世代の方も、いずれは親世代になります。親から受け継いだ想いをまた自分の子に受け継いでいく。それが相続です。無用な争いを避けるためにも、親世代の方に「じょうずな遺言」を勧めてみましょう。

 

また、自分と共同相続人になる、兄弟姉妹たちに、どんな思いでいるのかを確認し、親の大切な財産を受け継ぐとはどういうことかを話し合ってみましょう。

 

家族信託は、家族で家族を支える財産管理の方法

 

親が認知症などによる判断力の低下で預金凍結となったら、親の介護費用などは誰が支払いますか?

 

兄弟姉妹のうち、同居あるいは近居している誰か1人が「とりあえず、立て替えておく」ことになりそうです。しかし、それは相続で争った場合には、「立て替えたから返してもらうお金だ」とはなりません。

 

親子間には扶養義務があり、親の生活費や介護費を子どもが出すのは当たり前だと判断されてしまいます。立て替えたつもりでも、ただ負担しただけ、となってしまうことが多いのです。親の介護費用は親のお金を使わせてもらいましょう。

 

それには、認知症などによる預金凍結を防がなくてはなりません。そこで、家族信託を利用することをお勧めします。

 

家族信託は、家族で家族を支える財産管理の方法です。まず家族会議を開いて(堅苦しくなくていいです)、家族の気持ちを聞いてみましょう。

本連載は、2022年7月1日発行の書籍『実際にあった相続トラブル40例!解決策大全』から抜粋したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。

実際にあった相続トラブル40例! 解決策大全

実際にあった相続トラブル40例! 解決策大全

池田 千恵

ビジネス社

「相続」を「争族」にしないために―。元国税調査官・大村大次郎氏が推薦する話題の相続関連書。著者で「池田千恵司法書士事務所」・「岡崎家族信託・相続手続き事務所」所長である池田千恵氏は、「相続トラブルは『家族信託』…

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