(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

アリババがアントへの出資持ち分を減らす意向が影響

ハンセン指数は朝方こそ、小高く寄り付いたものの、後場にかけて下げ幅を拡大し前日比2.26%安と、約2ヵ月ぶりの安値水準まで下落して週末の取引を終えた。

 

同指数は6月につけた高値から約10%強下落し、心理的節目となる20,000pt近辺まで落ち込んだ。

 

一方、香港市場の売買代金は6営業日ぶりに1,000億香港ドル超えとなった。ハイテク銘柄で構成されるハンセンテック指数は他指数を大きくアンダーパフォームし、一時5%強安と構成銘柄はほぼ全面安の様相となった。

 

Eコマース最大手のアリババ(9988)が大幅安となり前日比6.1%安。創業者の馬雲氏が金融会社アント・グループの出資持ち分を減らして支配権を手放す意向だと述べたことが売りで反応した。

 

アント・グループは2020年に上海と香港で上場を計画していたが直前で中止され、その後、幾度となくIPOを検討していると報じられてきた。アリババはアントの発行済み株式の約3分の1を保有している。

 

他にも幅広く売りが見られ、オンライン医療の京東健康(6618)は8.9%安、阿里健康(0241)は5.9%安とそろって大幅安となった。動画配信投稿アプリの快手科技(1024)は7.1%安、動画投稿のビリビリは6.5%安だった。デリバリーサービスの美団(3690)は6.2%安、Eコマースの京東集団(9618)は4.5%安となった。

中国不動産開発業者の経営危機、未だ解決の糸口見えず

中国不動産開発業者の経営危機への懸念により、デベロッパーや管理サービスも下落を続けた。時代中国(1233)は6.5%安、不動産管理サービスの碧桂園服務(6098)は5.8%安、不動産開発の龍湖集團(0960)は5.7%下落した。

 

今週、中国政府は相次いで支援策を発表したが、早期の解決にはいたらず、時間がかかるとの見方が根強い。株価は週間を通して一進一退の動きとなった。

 

本土不動産株で構成されるハンセン本土不動産株は週間で1.79%安とハンセン指数の週間2.20%安を上回るも、不動産セクターの信頼低下が株式市場に波及する可能性が高いと思われる。

 

中国本土株は上海総合指数が前日比0.89%安の3,253.24、CSI300指数は同1.32%安の4,170.10で引けた。明日31日に7月の中国製造業PMIが発表される予定で、後場に入ってからは、様子見のまま週末の取引を終えた。

 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

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