ホームページ作成・運営の知識がない経営者は、専門業者の見積もりを見ても、適正価格かどうかの判断がつきかねるのではないでしょうか。ここでは、費用感の目安と効果的な運営・更新のポイントについて、株式会社コウズ代表取締役の浜野耕一氏が専門家の目線で解説します。

ホームページの適正価格について

車両価格に相当するホームページの制作費用について、どのくらい投資したらよいのかは、多くの企業が判断できない状態だと思います。実際、ホームページの制作費は企業によって幅があります。大手企業ではリクルート専用のホームページだけで数千万円を投資することもあります。この場合は大手広告代理店が参画しており、組織力やブランド力が価格に反映されます。

 

反対に自前でホームページを作れば費用はかかりません。今はWebページを無料で作れるツールが数多くあります。個人でホームページ制作を請け負っているところでは、5万円、10万円という激安価格を設定しているところもあります。このように非常に幅がありますが、成果に結びつくホームページを制作できる費用と考えると、ある程度の相場はあります。私がこれまで支援してきた企業でいうと、50~100万円、100~250万円、300万円以上の3つの層に分かれます。

 

私はよくホームページの制作費をレストランに例えています。10万円~50万円クラスの制作費は言わばコンビニのお弁当です。安くてそれなりにおいしい味にはなりますが、どちらかというと食事を楽しむというよりは、おなかを満たすことが目的になります。

 

それに対して50~100万円クラスはファミリーレストランです。暖かい料理が提供されて、席まで運んでくれます。料理の味も一定のレベルを保っており、店内も明るく家族や仲間と気持ちよく過ごせる環境になっています。

 

100~250万円クラスはイタリアンレストランのような専門店です。素材にこだわり、食器にこだわり、店内の内装からインテリアまで世界観があってよい雰囲気を演出しています。

 

300万円クラスにもなると、一流レストランです。有名なシェフがいて、世界から取り寄せる極上の素材が高いレベルで調理され、ホスピタリティを持って提供されます。私はいつも「どんなレストランで食事をしたいかと同様に、ホームページの制作費も決まりますよ」とお話しています。投資する金額によって質や体験が左右されるのは、ホームページ制作でも同じです。

 

適正価格を知るためにも、見積が来たらどうしてこの金額になるのか内訳をできるだけ詳しく聞いてください。例えば依頼した作業に対して10万円かかると言われたら、デザイナーが何時間の作業をする必要があるからこの金額になるということがわかれば、次の作業依頼の時にその金額が適正かどうかを判断する材料になります。

 

一概には言えませんが、悪質な制作会社の場合は、内訳を明確にせずに見積もりを出す場合があるので、同じ作業を依頼する際でも制作会社によって金額にばらつきができます。私も企業から相談を受けて耳を疑うような金額をふっかけている制作会社も実際に存在します。根拠のある見積になっているかを見極めるためにも、普段から見積の明細を確認して知見を蓄積していくことは必要です。

 

ここまでホームページの制作には一定の費用がかかるというお話をしてきましたが、とはいえホームページの開設以降も費用がかかることを考えると、初期費用とランニング費のバランスを考えた投資計画を立てることが重要です。膨大なページが存在する企業では、既存のホームページを分析すると、1度もアクセスされていないページも少なくありません。

 

ホームページのリニューアルの際は「既存のホームページを全て移行してほしい」と言われることが多いのですが、膨大なページを全て移行すると、ページ数分の費用がかかってしまいます。

 

誰も見ていないページを作っても成果につながることはありません。優先順位の低いページは思い切って掲載をあきらめて、ホームページを開設した後に、必要であれば少しずつ追加するという方法もあります。

 

浜野 耕一

株式会社コウズ

代表取締役

 

※令和2年度第3次補正 事業再構築補助金により作成