(※写真はイメージです/PIXTA)

4年間のアメリカ勤務を終えて日本に帰国しました著者は日本社会が歪んで見えたといいます。朝の通勤時に笑わない日本人、譲り合おうとしない日本人…。このままでいいのでしょうか。ジャーナリストの岡田豊氏が著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社)で解説します。

「忖度」という言葉は英訳できない?

■忖度が広がり歪む社会、「中国より日本の方が息苦しい」

 

私が帰国した2017年は、森友問題と加計問題、いわゆるモリカケ問題が噴出していました。翌2018年には、森友学園への国有地売却をめぐり、舞台となった近畿地区の近畿財務局の男性職員が自殺しました。この男性は国有地売却を担当していて、遺書には、当時の上司から改ざんを指示され悩んでいたという趣旨の内容が書かれていました。

 

自殺者まで出した森友問題とは一体、何だったのでしょうか。政治家や国家公務員たちは、醜態をさらしながら、真実を明らかにせず、臭いモノにふたをしたままです。

 

帰国した日本では「忖度」という行為が広がっていました。知人のアメリカ人は、「忖度」という言葉は直接英訳できず、日本人特有の言葉だと言っていました。権力に逆らわずに迎合し、事実、真実を隠蔽しようとする空気が蔓延していました。

 

2019年2月、小川淳也衆議院議員は、安倍長期政権が霞が関の官僚のモラルを大きくダウンさせたとして、衆院予算委員会で次のように発言しました。

 

「彼らのモラルは今どうなってしまったんだと思うことが多々ある。組織に媚びへつらって、何が正しいかではなく、何が都合がいいかを一生懸命探し、一生懸命、この政権に対して、尻尾を振れば必ず出世し、盾突いて正論を吐けば飛ばされて左遷される。どうですか、霞が関のみなさん。そういう体質が蔓延してきているんじゃないですか」

 

小川議員は、国民に奉仕するはずの官僚が、歪んだ権力への忖度などを繰り返し、正しい判断ができなくなっていると指摘したのです。メディアも歪んだ政権や忖度の土壌を追及し切れていません。何が良いことで、何が悪いことなのか。それを見極める見識がかすんでいます。

 

言うべきことを言わない空気感。重く、どんよりとした日本社会の息苦しさを象徴していました。4年ぶりに目の当たりにした日本社会は、歪んで見えました。

 

「中国より日本の方が息苦しい」

 

日本に10年以上住み、日本企業で働く中国人の知人は、私にこう言います。

 

この言葉は衝撃的でした。政府に人権意識が薄く、自由な報道がない中国よりも、息苦しい日本社会とは、一体どういうことなのでしょうか。

 

知人いわく、「中国はもともと多民族国家。国家の統制は強いが、違いを受け入れる要素がある。お互いを認め合う文化がある」と。知人は「中国では、赤ちゃんを連れた母親が困っていれば、助けようという人が日本より多い気がする。日本では電車で赤ちゃんが泣くと不愉快な顔をする人が多い気がする」と言います。

 

一部の比較にすぎないかもしれませんが、それでも、考えさせられます。窮屈な日本社会。このままでいいわけがありません。

 

岡田 豊
ジャーナリスト

 

 

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本連載は、岡田豊氏の著書『自考 あなたの人生を取り戻す不可能を可能にする日本人の最後の切り札』(プレジデント社)より一部を抜粋し、再編集したものです。

自考

自考

岡田 豊

プレジデント社

アメリカでの勤務を終えて帰国した時、著者は日本は実に息苦しい社会だと気付いたという。人をはかるモノサシ、価値観、基準の数があまりにも少ない。自殺する人があまりにも多い。笑っている人が少ない。他人を妬む。他人を排…

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