(※写真はイメージです/PIXTA)

PDCAサイクルのスタートでは数値目標を設定し、それを達成するための活動計画(アクションプラン)を立てます。通常は「計数計画先行型」が多いのですが、お勧めしているのは「活動計画先行型」だといいます。コンサルタントの井口嘉則氏が著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)で解説します。

PDCAでは計数計画より活動計画を先に立てる

計数計画と活動計画のどちらを先に立てるかという議論があります。一般に行われているのは、計数計画を先に立てて活動計画は後からという「計数計画先行型」が多いのですが、お勧めしているのは、活動計画先行型です。

 

理由は2つあります。

 

1つ目は戦略の焦点がぼやけてしまうことを避けるということです。計数計画先行型の場合、その計数を達成するのにいろいろな戦略バリエーションや課題解決策がありえます。

 

例えば、売上を上げるのに販売個数を増やす方法と販売単価を上げる方法とがあります。そうすると安易な方策として、販売単価を上げながら販売個数を増やすというような、計数計画にただ合わせるだけの活動計画を立てたりします。

 

しかし実際には、単価を上げれば販売個数は減る可能性があります。また販売個数を増やすために単価を下げなければならないかもしれません。こうしたことにならないように、計数計画を立案する前に、戦略の具体化(例:低価格戦略でシェアを取る)→戦略課題解決策(競合上有利な○○%プライスダウンで、顧客を増やす)→活動計画(〇年〇月〜実施)という手順で活動計画を立案しておいた方がよいのです。

 

もう1つの理由は、活動計画策定サボタージュ防止のためです。中期経営計画にしろ単年度の予算にしろ、成果物としての計数計画は必須です。

 

ですからとりまとめ部門としては、計数計画を先に作っておいて、活動計画は事業部門で後から作るということにしておきます。

 

しかし、実際には方針が打ち出される程度で、活動計画は面倒くさがって作られず、実行段階のその場になって思いつきの行動を取ることが多いのです。そうすると、戦略としてよく練られていないので、成果が上がりにくかったり、長続きしなかったり、関連部門と調整を行っていないので、組織的な活動ができなかったりします。

 

また、通常業務に忙殺されて、または忙殺されたことにして、新たな活動に取り組まずに終わらせてしまうということがあります。その結果、当初計数計画で立案した目標が達成できないということで終わってしまいます。

 

こうした2つのことを避けるために、計数計画よりも活動計画を先に立てることをお勧めするのです。

 

下表は、中期経営計画立案時のプロセス例ですが、予算策定においても、活動計画を先に立てる方法をお勧めしています。

 

予算策定の手順としては、以下のようになります。

 

①勘定科目別に、過去実績(3ヵ年程度)の分析を行い、その勘定科目に影響を与える変動要因(例:為替レート)を抽出する→②変動要因の予測を行う(例:円ドルレート○○円/$)→③予測に基づく成り行き予算を作る→④活動計画を立案する(価格改定を行う)→⑤活動計画の効果を織り込んだ計数計画(為替の影響と価格改定の影響の両方を織り込んだ予算となる)を立案する。

 

ポイント
活動計画を立ててから計数計画を立てるようにする

 

井口 嘉則
株式会社ユニバーサル・ワイ・ネット 代表取締役
オフィス井口 代表

 

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※本連載は、井口嘉則氏の著書『事業計画書の作り方100の法則』(日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋・再編集したものです。

事業計画書の作り方100の法則

事業計画書の作り方100の法則

井口 嘉則

日本能率協会マネジメントセンター

経営環境が激変する最悪シナリオを乗り切る「事業計画書」の立て方・作り方とは? 「ビジョン・戦略立案フレームワーク」で何を/どの段階で行うかがわかる“これからの”実践教科書。 コロナ禍にあっても、事業計画の立…

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