(※写真はイメージです/PIXTA)

認知症は、世間一般が考える以上に長い年月をかけて進行する病気です。家族が「何回も同じことを聞く」などの疑わしい症状に気づいた頃には、すでに重症化してしまっていた、ということも珍しくありません。早期発見・早期治療のために、認知症がもたらす症状や兆候を押さえておきましょう。医療法人いくしま医院院長・幾嶋泰郎医師が解説します。

認知症介護の精神的負担を減らすポイント

認知症の介護は精神的負担が大きく、ストレスを感じることも多いと思います。「家族が見なければならない」と自分で負担を大きくしてしまうと、一家心中や殺人、虐待、暴言、暴力などという思わぬ事態を引き起こすことがあります。

 

家族は本人が元気だったころを知っているので、そこまで戻したいと考えるようです。「あの頃はちゃんとしていたじゃないか」と本人を責めたり、面倒に思ったりする傾向があります。一方、介護スタッフはその人が元気だったころを知らないので、そこに戻そうとは考えません。認知症であることをそのまま受け入れ、どうしたら本人の負担が減り、不安が取れるかを考えます。こういう態度が実はとても重要です。

 

ひとりで頑張りすぎず、医師やケアマネジャーなど第三者に相談したり、介護保険サービスを活用したりするなど、本人にできるだけたくさんの人が関わるようにし、本来の社会的な絆を復活させながら、介護者に負担がかかりすぎないように気を付けることが重要です。

 

 

幾嶋 泰郎

医療法人いくしま医院 院長