生活習慣病リスクを下げる「地中海食」…脂肪肝の予防・改善に効果的な“食べ方”【医師が解説】

生活習慣病リスクを下げる「地中海食」…脂肪肝の予防・改善に効果的な“食べ方”【医師が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

肝臓病は、原因はなんであれ肝炎→肝硬変→肝がんへと進行していくことがあります。これは、日本人の3人に1人といわれる「脂肪肝」も例外ではありません。脂肪肝を脱出するには、まずは太らない体を作ることが重要です。無理のないペースで、しかし確実に脂肪を減らしていく方法として、ここでは「地中海食」について見てきましょう。みなと芝クリニック院長・川本徹医師が解説します。

進化した「グリーン地中海食」

最近では地中海食をさらに発展させた「グリーン地中海食」なるもので、NAFLDが改善したとする報告があります。グリーン地中海食は、繊維質を含む食材をさらに増やし、赤身肉を減らした、いわば地中海食の進化版です。

 

具体的なルールは次のような食べ方になります。

 

赤身肉を減らし、ハムやソーセージなどの加工肉は食べません。その代わり、1日あたり28gのクルミをスナックとして食べ、3〜4杯の緑茶を飲みます。さらに、プロテインシェイク(マンカイ、チアシード、ヘンプシード、豆腐など)を取り入れます。ほかの食材としては、トマト、カリフラワー、ほうれん草、ケール、フェタチーズ、オニオン、キュウリ、サーモン、マス、ツナ、サバ、ニシン、イワシ、オリーブオイル、ヨーグルト、玄米、大麦、鶏肉、オリーブの実など、不飽和脂肪酸が多く水溶性繊維質がふくまれているものが良いとされています。

 

研究チームは、内臓脂肪型の50代・男性の294名を対象に18ヵ月にわたる因果関係を検証するための研究を実施しました。参加者は健康的な食事、地中海食、グリーン地中海食の3グループに分けられます。すべての参加者に運動療法が課せられました。結果として、すべての食事が肝内脂肪の減少につながりました。特にグリーン地中海食のグループでは、脂肪肝の大きな減少を示し、NAFLDの有病率は62%から31.5%に低下したとしています。

 

グリーン地中海食は、もともとヘルシーな地中海食からさらに赤身肉や食肉加工品を減らし、代わりに植物性たんぱく質をふんだんに取り入れている点がポイントのようです。また、おやつとして取り入れたクルミの成分の約7割は脂質で、健康に良いとされるオメガ3脂肪酸が豊富に摂れる食材です。

 

ちなみにプロテインシェイクの材料となるマンカイ、チアシード、ヘンプシードは、それぞれ高たんぱくの植物素材です。つまり糖質や脂肪の腸からの吸収を遅らせる食物繊維や、肝臓の再生と脂肪分の放出を促すたんぱく質が豊富に含まれる食材を摂ることは、脂肪肝の予防・改善に有効ということです。

 

マンカイ、チアシード、ヘンプシードは、高級食材店などで入手できることがありますが、日本ではあまり馴染みの少ない食材です。代わりに、豆類(大豆プロテイン)やたんぱく質を含む野菜類(ブロッコリー、枝豆、芽キャベツ)、穀類(大麦)などで代用しても良いでしょう。

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※本連載は、川本徹氏の著書『死肪肝』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

死肪肝

死肪肝

川本 徹

幻冬舎メディアコンサルティング

沈黙の臓器、肝臓。 「気付いたときにはすでに手遅れ」を防ぐために――。 臨床と消化器がんを研究し、米国テキサス大学MDアンダーソンがんセンターでがん治療の最先端研究に携わった著者が、脂肪肝の基礎知識とともに肝…

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