企業が自社のHPを持つ以上、ビジネスにおける「明確なメリット」となっていることが重要です。企業のHPの改善のプロセスと、成功する運営スタイルについて、株式会社コウズ代表取締役の浜野耕一氏がプロの目線で解説します。

「ホームページの離脱=バケツの穴」を塞ぐ方法は?

ホームページを開設したら、改善を繰り返していかないと成果が出せません。ホームページの改善のプロセスには、「現状課題の抽出および改善策の仮説」「ホームページの改善」「効果検証」の3つのステップがあります。

 

◆現状課題の抽出および改善策の仮説

 

アクセス解析ツールでホームページのアクセス状況を把握し、ユーザーの思考や感情を分析します。私の会社が開発したアクセス解析ツール「Groweb!(グローブ)」は、デジタル音痴の経営者でも簡単にホームページの状況を把握できると評価され、これまで2000社のサイトに導入されています。Groweb!では専用のホームページを公開しているので、実際にどのように改善施策を考えているのかをご紹介します。

 

例えば、ホームページに「Groweb!で出力するレポートの種類」を説明するページがあります。ホームページのアクセス状況を見たところ、このページで離脱する(他のサイトに移動してしまう)人が多いことがわかりました。そこで次のような仮説を立てました。

 

①レポートの活用例を説明したら、イメージがわいて問い合わせフォームに進んでくれるかもしれない

 

②様々な業界のお客様の声を掲載したら、自社でも活用できると思って問い合わせフォームに進んでくれるかもしれない

 

③問い合わせボタンをページの目立つ位置に置いたらクリックしてくれるかもしれない

 

このようにユーザーの感情を予測して「コンテンツが足りていないのか」「問い合わせフォームまでの導線が悪いのか」この2つを軸に仮説を立てて改善策を考えていきます。

 

ホームページを訪れた人が問い合わせフォームまで進んでもらうには、「離脱」をいかに防ぐかというのがポイントとなります。例えるなら離脱はバケツの穴のようなものです。バケツに穴がたくさん空いていると、どれだけたくさんの水(ホームページの訪問者)をバケツに入れても、あちこちの穴から水が流れ出て、問い合わせフォームに行きついてくれません。このバケツの穴をひとつひとつふさいでいくと、成果に結びつきます。

 

◆ホームページの改善

 

決定した施策に基づき、ホームページを変更します。ここでは①を実行してみることになりました。

 

◆効果検証

 

アクセス解析ツールでホームページを改善した後のアクセス状況と、問い合わせ件数を把握します。問い合わせが増えたら①の仮説が正しかったことになりますし、増えなければ②または③を改善します。それでも効果がない場合は、新たな施策を考えます。

 

このように「改善策の立案」「ホームページの改善」「効果検証」のサイクルを回していくことで、独自のノウハウが蓄積されていきます。

 

改善は、3ヵ月をひとつのサイクルとして考えます。施策立案で1ヵ月、改善で1ヵ月、効果検証で1ヵ月です。この3ヵ月のサイクルを4回繰り返してちょうど1年です。私が支援する企業では、この改善プロセスを1年程度続けると何らかの成果が数字となって現れています。

 

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※令和2年度第3次補正 事業再構築補助金により作成