(※写真はイメージです/PIXTA)

「まだ大丈夫と思いたい。でも、知っておけば準備できる。」高齢者認知症外来・訪問診療を長年行ってきた専門医・近藤靖子氏は、書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』のなかで「認知症患者の物忘れ」について解説しています。

「若者の記憶」と「認知症患者の記憶」仕組みの違い

現役で社会生活を送っている私たちの記憶は、どうでしょうか? 仕事をしている時は、していることに関しての考えに集中して、ほかのことはあまり意識にのぼってきません。

 

そして、仕事を仕上げるためには、仕事に関する記憶は必須です。もし、1時間前にしたことや昨日したことを忘れたりすると、仕事をスムーズに継続するのが困難になります。

 

本を読んだり、ドラマを見たりするのも、登場人物や設定などを忘れてしまうと楽しめなくなります。

 

一方、昔の記憶に関してはどうでしょうか? 昔に関する話題を誰かと話したり、写真を見たり音楽を聴いて思い出したりなど、必要な時には記憶を紐解いて思い出すことができます。

 

それぞれの時間や事柄に対する記憶は、いわばそれぞれのタンスの引き出しの中にきちんと整理されているようなものだと思われます。そして、必要に応じて適切なタンスの引き出しを開けて、必要な記憶を取り出すように思い出しています。

 

一方、高齢になり、認知症が進んでくると、一つには時間の見当識が障害され、時間の感覚が自覚されにくくなります。

 

新しい記憶はあまり残らないので、心に浮かんでくるのは、過去の日常生活の記憶や、特に心に残った事柄が繰り返し思い出されます。

 

まるで、毎日心に浮かんでくる思い出の中で生活しているかのようではないでしょうか。

 

もし自分がそうなったら、できれば楽しい思い出に浸って毎日を過ごしていると良いなあ、と思います。

 

 

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近藤 靖子

和歌山県和歌山市に生まれる。京都大学医学部および同大学院卒。 医療に関しては麻酔科、眼科、内科、神経内科、老年内科の診療に従事。1994年家族と共に渡米し、オハイオ州クリーブランドのクリーブランドクリニックにて医学研究を行う。 その後、ニューヨーク州ニューヨーク市のマウントサイナイ医科大学、テキサス州ヒューストンのMDアンダーソンがんセンターにて医学研究に従事。 2006年末に帰国し、2008年千葉県佐倉市にさくらホームクリニックを夫と共に開院し、主に高齢者医療を行う。

本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『認知症のリアル 時をかけるおばあさんたち』(幻冬舎MC)より一部を抜粋したものです。最新の法令等には対応していない場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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