あなたにあるかもしれない「4つ」の口腔ストレス
① 舌ストレス
歯が舌に与える刺激で、口のなかのストレスで1番大きい。舌に歯の跡がついているのが舌ストレスの典型例。
② 頬粘膜ストレス
頬の内側を「頬粘膜」といい、奥歯が外に傾斜して、頬の粘膜に与えるストレス。
③ リップストレス
前歯が回転していたり、乱ぐい歯で唇の裏側を刺激したりすることで発生するストレス。また、前歯の長さが原因で、下唇を刺すことによるストレス。
④ 咬み合わせストレス
通常の歯科でいう、“咬み合わせ”。特定の歯だけが当たったり、かぶせものや義歯の高さが合っていなかったりなど、咬み合わせ不良によるストレス。あごの位置がずれることもある。
また、口腔ストレス症候群は、体調不良だけでなく、慢性的ストレスによる自律神経の乱れを引き起こし、交感神経優位となることで、心身的な症状も引き起こします。以下に、口腔ストレス症候群として起こりうる症状を列記します。
口腔ストレス症候群が引き起こす可能性のある、首・肩のこり以外の症状
アゴの関節が痛い、アゴの関節が鳴る、口が開きにくい、偏頭痛、口・頬のコリ、腰痛、背中の痛み、手足のしびれ、歯ぎしり、食いしばり、めまい、耳鳴り、胃腸が弱い、下痢、生理痛、無気力、冷え性、体がだるい……
つまり、「口腔ストレス症候群」は、どんな症状をも引き起こす可能性がある、「万病のもと」ともいえるのです。
しかし、そもそもなぜ現代人に、舌ストレスをはじめとする「口腔ストレス」が出ているのか? その答えは「軟食」です。
「軟食」が生んだ現代人のアゴの退化
この50年で、ヒトは初めて軟食というものを経験しました。これは人類20万年の歴史のなかで初めてのことです。
ある歯科の先生が、年代別に食事を再現し、学生さんに噛んでもらって、咀嚼回数を測定した実験では、現代人は、卑弥呼の時代の約7分の1しか噛んでいないことがわかりました※。
※ 斎藤 滋(1995)噛むことと健康,噛む-口腔衛生と食生活.GAP,東京,PP.16-30
「軟食」のため、噛む回数が減ってしまった結果、現代人の「アゴ」と「歯並び」は小さくなり、それが子供に遺伝し、小さいアゴの設計図に書き換えられています。さらに、幼少期に噛まないことにより、アゴはさらに小さくなる。
これを、すでに何世代も繰り返しているのです。
また、噛まないことで、歯は摩耗をせず、刃物のように尖っていて、より舌を傷つける結果を生んでいます。
その結果、慢性的に舌が傷つくことが原因で、堀ちえみさんも苦しんだ「舌ガン」の数は、ここ20年で3倍に増えているのです。
しかし増えたとはいえ、1年にかかる舌がんの数は、まだ5,148人(国立がんセンター2018年)にとどまっています。
それは、我々の舌が非常に優秀で、歯から必死で逃げてくれ、癌にならないようにしてくれているからです。
しかし、舌ガンにはならないが、その大きな代償として、首・肩のこりや偏頭痛、めまいなどを引き起こしているのです。
また、滑舌の悪さや声質の低下なども、同じ理由で、主に「舌ストレス」が引き起こしています。
もし、あなたがいろいろな治療法を試していても首や肩のこりが一向に改善しないならば、舌ストレスを含む、口腔ストレス症候群を疑ってみたほうがいいでしょう。
安藤 正之
医療法人健幸会安藤歯科クリニック
院長
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