(※画像はイメージです/PIXTA)

先週の米ドル/円は5週間ぶりに米ドル高値更新にいたらなかったものの、豪ドルやユーロに対して、米ドルは高値を大きく更新する展開となりました。この動きは今後も続くのか、また米ドル/円への影響は……マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏が分析・考察したうえで、7/12~7/18の米ドル/円レンジを予想します。

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    雇用統計を受けて、米利上げ見通しが変わってきた

    先週後半は、対ユーロなどでの米ドル高が一段と加速するなかで、徐々に米ドル/円も米ドル高・円安が再燃し、とくに8日の米雇用統計発表で、注目されたNFP(非農業部門雇用者数)や平均時給などが予想を上回る結果となると米金利が上昇し、それに連れる形で米ドル/円も一時136円半ばまで上昇しました。

     

    ここでのひとつのポイントは、雇用統計などが予想ほど悪くなかったことなどを受けて、FOMC関係者のインフレ対策への強い姿勢が再確認されたということではないでしょうか。

     

    先週末にかけて複数のFOMCメンバーが、7月FOMCで0.75%の利上げ、さらに9月FOMCでも0.5%の利上げといった見方を示しました。この通りに利上げが実行されると、現在1.75%のFFレート上限は、9月のFOMC終了後には3%に引き上げられる見通しになります。

     

    FFレートの動きを先取りする米2年債利回りは、いっときの3.4%程度から、その後は3%を割り込むまで低下しました(図表7参照)。数字通りに受け止めると、FFレート引き上げは3%未満にとどまることを織り込み始めていた可能性があったわけです。

     

    ところが、改めてFFレートが3%以上に引き上げられる見通しが出てきたことで、米2年債利回りも3%以上に再上昇となり、それが先週後半の米ドル高を後押ししたということでしょう。

     

    出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成
    [図表7]米2年債利回りとFFレート(2022年1月~) 出所:リフィニティブ社データをもとにマネックス証券が作成

     

    こんなふうにインフレと景気の両面をにらみながら、FFレートがどこまで引き上げられるかを手掛かりにした展開がまだ当面続くことになりそうです。

     

    具体的には、すでに米2年債利回りが3.4%程度まで上昇したことで、FFレートの3.5%程度までの引き上げは織り込み、それが137円程度での米ドル高・円安を正当化してきたわけですから、米ドル高が一段と140円を目指す上昇となるためには、FFレートが4%以上に引き上げられる見通しが必要になりそうです。

     

    今週も米6月CPI(消費者物価指数)など注目のインフレ指標などの発表が予定されているため、それらの結果を受けた米利上げ見通しの推移が焦点となり、米ドル/円は135~137円中心の展開が予想されます。

     

     

    吉田恒

    マネックス証券

    チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

     

    ※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

     

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