企業も世界一「長寿大国」のニッポン。100年以上の歴史がある会社は3万3,000社以上も【国際金融ストラテジストが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

世界経済は大きく変動し、日本で長らくつづいた「デフレ」の時代は終焉、インフレと円安が同時に進行する時代が到来しました。シティバンクの東京支店及びニューヨーク本店の要職として活躍した、香港在住・国際ストラテジスト長谷川建一氏の著書、『世界の富裕層に学ぶ海外投資の教科書』(扶桑社)から一部を抜粋し、世界の富裕層を取り巻く経済環境変動と彼らの海外投資術を解説します。

香港、シンガポールには「相続税」が存在しないが…

日本は社歴1,000年以上の会社が7社もあり、100年以上の社歴がある会社が3万3,000社を超える世界一の“長寿企業大国”です。一方で、人口が14億人もいる中国には100年を超す長寿企業は非常に少なく、香港を含めても社歴世界トップ10に入る長寿企業は見当たりません。

 

そんな中国ですが、中華圏の富裕層の間では、現在、事業・資産承継への関心が高まっていると言われています。特に、事業をどう承継するかは、彼らの最大の関心事になっています。

 

● 中国のことわざには富不過三代

● 西洋のことわざにClogs to Clogs in three generations

 

というものがありますが、これは「初代が築き上げた資産は3代目まででなくなる」との意味で、奇しくも同じことを意味しています。やはり、事業や資産の承継は大きな悩みの種なのです。

 

日本では最大55%にもなる相続税と贈与税ですが、香港やシンガポールなどでは相続税や贈与税は課されません。これらの国・地域では相続税や贈与税が課せられず、富を引き継ぐことに政府が関与しません。

 

したがって、資産そのものの承継は大きな問題にならないのです。それにもかかわらず、3代目以上にわたって富や事業が続くことは稀であるというのは、どういうことなのでしょう。

 

アジアの富裕層ファミリーを観察してみると、相続税の有無ではなく、もっと別の次元で資産承継の問題に取り組んでいることが見えてきます。

日本と毛色が異なる中国圏富裕層のファミリービジネス

香港を含む中華圏富裕層の第1世代の頃は、家族が主体となって経営してきたファミリー経営でビジネスでの成功を収めるケースが多くあります。

 

しかし、ビジネスの規模を拡大する過程で、事業の多角化や国際展開に向かい、家族ではなく組織としてのビジネスに成長していきます。この段階にいたると、事業を創業した家族は、企業や財閥を運営する事業家ファミリーへと変貌を遂げることになります。

 

第1世代は、出身国や地域の中で成功を収めて富を築いたケースが多いのですが、第2世代、第3世代になると、国外での留学や就学の機会を与えられ、国や地域にとらわれずに学び、生活も営むようになり、結果として海外に出て事業などを立ち上げるケースが増えています。

 

特に、ミレニアル世代(1980年から1995年の間に生まれた世代)の富裕層の承継者は、成長に伴って起業家精神が高まり、投資とともに新しい事業を立ち上げる傾向が強く見られます。

 

最近の中華圏富裕層ファミリーでは、「2世」といわれる創業者の次の世代の80%が「ファミリービジネスを承継したいと思っていない」という調査結果も出ています。

 

多くの「2世」たちは欧米での勉強の機会を与えられることが多く、そこで西洋的な考え方を身につけ、結果として自分の力で欧米の企業に勤務したり、起業したりする機会を見つけたりして、ファミリービジネスからむしろ遠ざかってしまうのです。

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    Wells Global Asset Management Limited, CEO 国際金融ストラテジスト <在香港>

    シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。

    2004年末に東京三菱銀行(現MUFG銀行)に移籍し、リテール部門でマーケティング責任者、2009年からは国際部門に異動しアジアでのウエルスマネージメント事業戦略を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。

    その後、MUFG銀行を離れ、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence (限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。

    2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得し、最高経営責任者として、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。

    世界水準の投資機会や投資戦略、資産防衛に精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。(個人ブログ:HASEKENHK.com

    京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)、名古屋市生まれ

    著者紹介

    連載今すぐ役立つ、世界の富裕層が実践する海外投資術

    本連載は、長谷川 建一氏の著書『世界の富裕層に学ぶ海外投資の教科書』(扶桑社)から一部を抜粋し、再構成したものです。

    世界の富裕層に学ぶ海外投資の教科書

    世界の富裕層に学ぶ海外投資の教科書

    長谷川 建一

    扶桑社

    シティバンクグループのニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任し、日本に「プライベートバンク」を広めた第一人者である著者。現在は香港に自ら設立した『Wells Global Asset Management Limited』の最高経営責任者と…

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