銀行から口座の解約を強制される可能性も。数年でスイスの銀行が厳格な態度に変化した理由【国際金融ストラテジストが解説】 (※写真はイメージです/PIXTA)

世界経済は大きく変動し、日本で長らくつづいた「デフレ」の時代は終焉ーーインフレと円安が同時に進行する時代が到来しました。シティバンクの東京支店及びニューヨーク本店の要職として活躍した、香港在住・国際ストラテジスト長谷川建一氏の著書、『世界の富裕層に学ぶ海外投資の教科書』(扶桑社)から一部を抜粋し、世界の富裕層を取り巻く経済環境変動と彼らの海外投資術を解説します。

新型コロナをきっかけに、世界は格差是正へ舵取り

2020年、新型コロナウイルス感染の拡大で世界経済が大打撃を受けると、主要国の政府は経済維持・雇用確保のために大型の財政出動を実施しました。

 

それまで財政規律を重視してきたはずの各国政府も、緊急事態とばかりに積極的に財政政策を実行し、中央銀行も金融政策を緩和して金利を下げ、市中に資金が溢れかえるよう量的な緩和を実行しました。

 

2021年、米国ではトランプ前政権・共和党が選挙で敗れてバイデン政権が誕生。もともと「小さな政府・消極財政」を主張する共和党に対し、「大きな政府・財政拡張」という傾向のある民主党ですが、今回の危機に直面する米国を救済するという旗印のもと「ファミリープラン」や「レスキュープラン」という美名をつけた大型の財政出動政策を打ち出しました。

 

財政支出を増やせば、当然、その歳出の裏付けとなる歳入はどうするのだという話になります。そこで、増税という話になるわけです。

 

民主党は歴史的にも経済的弱者の立場を守るという政党で、格差の是正や中間層の再生を掲げてきました。そうなると、どこから税金を取るかといえば、やはり富裕層から取るしかないという流れになっています。

 

中国では2021年8月に開催された中国共産党の中央財経委員会で、習近平主席が「共同富裕」を促進すると述べました。経済的な強者が利益を独占する行き過ぎを是正し、貧富の二極化を解消して、弱者も十分な生活水準を達成できる社会を目指すと目標を示しました。

 

この後、企業からは「共同富裕専門プロジェクト」が立ち上げられ、巨額の資金供出の表明が相次ぎました。一例を挙げるとテンセントが500億元(8,500億円)、アリババが1,000億元(1・7兆円)のプロジェクトを立ち上げたのです。

 

いずれにしても、世界は資本主義・社会主義問わず、「分厚い中間層の形成」と「富裕層への社会負担増加」に向かっています。

スイス金融監督当局によって敷かれている強固な捜査網

ここ数年で、プライベートバンクを利用されている日本人のお客様から、次のような問い合わせを受けることが増えています。

 

内容は、口座を保有しているスイスの銀行(プライベートバンク)からのもので、「毎年税務当局に資産に関する必要な報告を行っている」ことや、「口座を開設した当時にさかのぼって、居住地で適用される税制の観点から問題がない口座であることを、会計士などの専門家に証明してもらうよう要請された」というものです。

 

そうした要請の中には、期限内に必要な証明を提出しない場合には、口座の解約さえ強制されるという話まで聞こえてきます。

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    Wells Global Asset Management Limited, CEO 国際金融ストラテジスト <在香港>

    シティバンク東京支店及びニューヨーク本店にて、資金証券部門の要職を歴任後、シティバンク日本のリテール部門やプライベートバンク部門で活躍。

    2004年末に東京三菱銀行(現MUFG銀行)に移籍し、リテール部門でマーケティング責任者、2009年からは国際部門に異動しアジアでのウエルスマネージメント事業戦略を率いて2010年には香港で同事業を立ち上げた。

    その後、MUFG銀行を離れ、2015年には香港金融管理局からRestricted Bank Licence (限定銀行ライセンス)を取得し、Nippon Wealth Limitedを創業、資産運用を専業とする銀行のトップとして経営を担った。

    2021年5月には再び独立し、Wells Global Asset Management Limitedを設立。香港証券先物委員会から証券業務・運用業務のライセンスを取得し、最高経営責任者として、アジアの発展を見据えた富裕層向けサービスを提供している。

    世界水準の投資機会や投資戦略、資産防衛に精通。個人公式サイトなどを通じて、金融・投資啓蒙にも取り組んでいる。(個人ブログ:HASEKENHK.com

    京都大学法学部卒・神戸大学経営学修士(MBA)、名古屋市生まれ

    著者紹介

    連載今すぐ役立つ、世界の富裕層が実践する海外投資術

    本連載は、長谷川 建一氏の著書『世界の富裕層に学ぶ海外投資の教科書』(扶桑社)から一部を抜粋し、再構成したものです。

    世界の富裕層に学ぶ海外投資の教科書

    世界の富裕層に学ぶ海外投資の教科書

    長谷川 建一

    扶桑社

    シティバンクグループのニューヨーク本店にて資金証券部門の要職を歴任し、日本に「プライベートバンク」を広めた第一人者である著者。現在は香港に自ら設立した『Wells Global Asset Management Limited』の最高経営責任者と…

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