(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

米国は中国に対する対中追加関税の一部撤廃を検討

バイデン米大統領は、早ければ今週中にも、中国の消費財に対する関税の一部適用除外を発表する可能性があると報じられた。トランプ前大統領が中国製品に課した関税が7/5に期限を迎えることから、米国政府は一部の中国製品の関税を新たに見直しする必要があるとコメントした。

 

最終的な決定は現段階では未済で、発表時期は、更にずれ込む可能性はあるものの、インフレが加速する中で、輸入物価を押し上げている消費財の関税を引き下げることで消費者の負担を軽減させる意図が透けて見える。

 

ただテクノロジー製品などの戦略的分野では、関税を引き上げる恐れがあるとの指摘もあり、両者の協議は注目しておかなければならない。米中による制裁・報復関税の応酬が激化した「貿易戦争」は明日7月6日で丸4年が経過することになる。

 

(米中の関税措置 Bloombergから引用)

 

中国経済指標は回復傾向が続く

5日発表された、中国財新サービス部門購買担当者景気指数(PMI)は54.5と前月の41.4から大幅に改善した。2021年7月以来の高い水準に回復し、市場予想(49.6)も大幅に上回った。

 

先週1日に発表された6月の財新製造業PMIでも51.7と市場予想(50.1)を上回って2021年5月以来の水準を回復していた。製造業・サービス業とも大幅な改善が見られるが、財新が調査するPMI統計は、より民間企業の構成比率が高い。ロックダウンによる行動規制が緩和されて、敏感に需要が回復したことにより、直接的な影響が見える。

 

ただ、今日も報じられていたように、依然として中国本土の新規感染者数は増加傾向にあり、警戒感も強い。昨日の時点で、中国本土の11都市では引き続き、全面的もしくは部分的ロックダウンが維持されたままであり、先週の5都市から増加していることも事実である。

 

中国東部の安徽省では、前日の新規感染者(無症状者含む)は231人、中国全土では335人と3日連続で300人を上回って、感染の拡大が顕著である。上海や北京などの大都市でも、中規模なクラスターが発生するなどリバウンドへの懸念はくすぶっている。

 

(中国財新サービス部門購買担当者景気指数)

 

 

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

 

 

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