(画像はイメージです/PIXTA)

親族一同が納得したうえで、資産家の父の遺産をすべて相続し、自分の財産はすべて長男に渡すとの遺言書を用意した母。ところが、同居の長男は母に暴言を吐き、時に暴力を振るうなどして虐待します。長女は長男のもとから母親を救いたいと焦りますが、どんな方法があるのでしょうか。高島総合法律事務所の代表弁護士、高島秀行氏が実例をもとに解説します。

同居しながら「虐待する子」相手に裁判はできない

高齢の親の面倒を見ないというケースは、意外に多いです。面倒を見ないだけでなく、一歩進んで親を虐待しているケースは少ないですが、たまにあります。

 

本件は、その親を虐待しているケースです。

 

今回は、親が虐待を受けている場合にどうしたらよいかということについてご説明します。

 

まず、こういうケースでは、親が虐待をしている子どもと同居しているので、親が弁護士に相談に行ったり、ほかの子どもと連絡を取ったりすることが難しく、ましてや同居しながら、虐待している子ども相手に裁判をすることはできません。

 

しかし、だからと言って、ほかの子どもが親の代わりに裁判等の法的手続を行うことはできません。そこが、親が子どもから虐待を受けているようなケースの難しいところです。

 

そこで、花子さんは、当事者でないので、何もできないという選択肢①は正解となります。

 

では、どうやって、当事者である陽子さんが太郎さんに対し、裁判等の法的手続を取れる状態にするかということとなりますが、陽子さんに花子さんと同居してもらう、あるいは裁判等をしている間だけホテル住まいをしてもらうことが考えられます。

 

そうした上で、まず、陽子さん名義の建物から太郎さん夫婦を追い出すことができるか検討します。

 

建物の名義が幸い陽子さんとなっていますので、法律上は、陽子さんが太郎さんに使用貸借契約により無償で貸しているということとなります。

 

使用貸借は期間と目的を定めていなければいつでも終了させることができます。また、本件の使用貸借契約に目的が定められているとすれば、太郎さんが陽子さんの面倒を見ることとなりますが、太郎さんは陽子さんの面倒を見るどころか虐待をしているということなので、陽子さんの面倒を見るためという使用貸借契約の目的は終了していることから、使用貸借契約は終了することができると考えます。

 

したがって、陽子さんは、太郎さんとの建物の使用貸借契約を解除して自宅から出て行ってもらうことができるとする選択肢②も正解です。

 

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